出版社内容情報
「杜子春」「捨児」「秋山図」「奇怪な再会」「往生絵巻」「母」「好色」「薮の中」「俊寛」「将軍」「神神の微笑」「トロッコ」「報恩記」他6篇収録。
【解説: 饗庭孝男 】
芥川の全小説を6巻で贈る。本巻には「杜子春」「薮の中」ほか17篇を収録。
目次
杜子春
捨児
影
お律と子等と
秋山図
山鴨
奇怪な再会
アグニの神
妙な話
奇遇
往生絵巻
母
好色
薮の中
俊寛
将軍
神神の微笑
トロッコ
報恩記
内容説明
芥川の全小説を6巻で贈る。本巻には「杜子春」「藪の中」ほか17篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
66
まさに名作揃いの短編集と言えますね。『杜子春』『藪の中』『トロッコ』など。しかも作品に様々な風景を見せてくるのが凄いところです。色々な種類の短編を書くことができるということは、まさに天才ですね。読後感も様々です。とても自殺する作家の作品とは思えません。2020/03/19
r.ramone
45
◯人間のエゴをこれほどまで隙のない文体で綴ることができる小説家、芥川のほかにいるだろうか?◯「好色」で大爆笑。◯「トロッコ」やはり名作。子どもの頃に抱いた、形容しがたい「あの不安」。そして大人になった自分には、父と母が待つ、まっすぐ駆けていくべき家は(少なくとも当時と同じ形では)もうない。目的地の見えない暗がりをふらりふらりと、ひとり歩んでゆく…。2021/02/24
ころこ
41
『お律と子等と』昔はまどろっこしくて好きではなかったが、落ち着いて淡々と順序を踏んでいる文章は、歳を取って読むと読み応えを感じる。病臥における人々の思惑を描いた『枯野抄』の発展形だが、今度は固有名に頼らずに先妻の姉・お絹、連れ子の兄・慎太郎というキャラクターに拠っている。先のふたりと洋一は立場が違う。あくまで洋一視点の三人称だが、兄の異なるナラティヴが巧みで厚さを感じるのに、異性であるお律の平板さと遠さに、芥川の限界がみえる作品でもある。現在では感情移入するのは、母のお律の気持ちだ。『トロッコ』我々は幼少2023/01/18
優希
40
名作揃いの短編集と言っても良いと思います。有名作といえば『杜子春』「藪の中』『トロッコ』あたりでしょうか。これらの作品が面白いのは言うまでもなく、他の作品も多彩な魅力があります。ミステリーから宗教まで様々な色合いがあり、精神的に訴えてくる作品が多いですね。これはもう「才能」としか言いようがありません。2024/12/10
優希
40
ミステリーや宗教をベースにした作品が多い印象です。短編ながらも精神的な一面などが凄く伝わってきました。芥川の文章の力を感じます。2023/03/21