出版社内容情報
「きりしとほろ上人伝」「蜜柑」「竜」「魔術」「鼠小僧次郎吉」「舞踏会」「尾生の信」「黒夜聖母」「或敵打の話」「素戔嗚尊」「南京の基督」他9篇収録。
【解説: 稲垣達郎 】
初の文庫版全集第3巻。「蜜柑」「きりしとほろ上人伝」「或敵打の話」他17篇収録。
目次
きりしとほろ上人伝
蜜柑
沼地
竜
疑惑
路上
じゅりあの・吉助
妖婆
魔術
葱
鼠小僧次郎吉
舞踏会
尾生の信
秋
黒衣聖母
或敵打の話
女
素戔嗚尊
老いたる素戔嗚尊
南京の基督
内容説明
初の文庫版全集第3巻。「蜜柑」「きりしとほろ上人伝」「或敵打の話」他17篇収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
75
様々な色彩の物語を読めたという印象です。27歳前後の作品ということで、芥川の物語の才能に驚かされるばかりでした。1つ1つの作品を味わう時間が楽しかったです。キリスト教を題材にした作品が結構あったような気がしました。物語作家芥川の真骨頂を見たようです。2020/03/17
優希
42
物語作家としての芥川を見たようでした。様々な色彩の作品で楽しめます。それでいながら読みやすい。キリスト教を扱った作品が結構あったように思うのは気のせいでしょうか。2023/03/21
ころこ
39
『蜜柑』まるで探偵小説のように探偵の「私」が娘を見る風景描写と、その時の「私」の心理描写とがある。娘の気持ちは身なりと行動で示され、それを「私」が解釈する。「私」と娘との非対称の視線が非常に現代的である。弟に蜜柑を放り投げた娘の健気さは届く。しかしその一方で、娘はその鮮やかさが弟に届くということを周囲に見せつける。こんな世慣れた方法を無意識であっても使うのは、娘の世慣れないとこの先、生きてはいけない暗い未来を暗示しているのではないか。「私」も憂鬱な気持ちを一時忘れる明るい心理描写の後の空白には、一時経てば2023/01/15
r.ramone
39
『素戔嗚尊』日本神話随一の多重人格神が、芥川に人間としての命を吹き込まれた。神話を無感情に読んだときには一貫性のない行動をする神様だなと思っていたが、本作では内心の描写が見事なおかげで「イマイチ理解できない神話」が「一人の男の生き様」になった。…ほか『蜜柑』『秋』三巻も名作揃いでした。2020/12/19
ホームズ
23
『妖婆』『魔術』『黒衣聖母』『素戔嗚尊』『老いたる素戔嗚尊』などが好きだな〜。『路上』もいい感じだったので後編が無いのは残念。その他の作品もいいものが多かった。色んなテイストの作品があって色々楽しめるな〜。2013/08/10