出版社内容情報
「老年」「青年と死」「ひよっとこ」「仙人」「羅生門」「鼻」「孤独地獄」「父」「風」「酒虫」「野呂松人形」「芋粥」「猿」「手内」「煙草と悪魔」「煙管」「運」他9篇。
【解説: 中村真一郎 】
全小説を6巻に収めた文庫版初の全集。「鼻」「羅生門」ほか24篇を収録。
目次
老年
青年と死
ひょっとこ
仙人
羅生門
鼻
孤独地獄
父
虱
酒虫
野呂松人形
芋粥
猿
手巾
煙草と悪魔
煙管
MENSURA ZOILI
運
尾形了斎覚え書
道祖問答
忠義
貉
世之助の話
偸盗
さまよえる猶太人
二つの手紙
内容説明
全小説を6巻に収めた文庫版初の全集。「鼻」「羅生門」ほか24篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
74
面白かったです。初期の名作がおさめられていますが、作家として既に完成されていたように思われます。ただ、言葉数が多いようにも感じました。もう少し読者に委ねた物語になっていてもいいのではないでしょうか。それでも早熟とも言える作品の数々に酔い仕入れてしまいます。2020/03/12
harass
72
この作家の全集に目を通すことにする。青空文庫でも読めるのだが。教科書やアンソロジーで数篇しか読んだことのない作家で、こういうのもあるのかと驚いている。発表執筆?順に作品が並んでいるようだ。これこそ短編小説的な終わり方だと感じる。「羅生門」「偸盗」は再読したい。2018/02/12
ころこ
47
『羅生門』の最後の文「下人の行方は、誰も知らない。」同じ文字を使っているのに、不思議と書く手によって文の巧拙があるのを実感するのは誰、といえば芥川の文章だ。安部公房がこの最後の文の間合いを似せている。芥川の文章はある感度の質感があるが、それ故にその質感を維持したまま文章の「表面張力」を保たねばならない、と黙示的に考えて文章を書いていたのではないか。『偸盗』の老婆は『羅生門』を引き継いでいる。中編『偸盗』の出来には失望を禁じ得ない。「太郎は、我を忘れて、叫びながら、険しく眉を顰めて、弟を見た。次郎も片手に太2023/01/10
優希
45
面白い作品が多く、読んでて飽きません。大正時代に書かれた作品ながらも古さを感じず、するする読めます。近世以前でありながら現代的なんですよね。2023/03/21
優希
44
読みやすくて面白いです。短編とはいえ、構成や描写力が素晴らしい。芥川は文壇に出始めた頃から完成されていたのですね。2024/12/09