目次
檸檬
城のある町にて
泥濘
路上
椽の花
過古
雪後
ある心の風景
Kの昇天
冬の日
蒼穹
筧の話
器楽的幻覚
冬の蠅
ある崖上の感情
桜の樹の下には
愛撫
闇の絵巻
交尾
のんきな患者
詩二つ
小さき良心
不幸
卑怯者
大蒜
彷徨
裸像を盗む男
鼠
カッフェー・ラーヴェン
母親
奎吉
矛盾の様な真実
瀬戸内海の夜
帰宅前後
太郎と街
瀬山の話
夕凪橋の狸
貧しい生活より
犬を売る露店
冬の日
汽車 その他
凧
河岸 一幕
攀じ登る男 一幕
栗鼠は籠にはいっている
闇の書
夕焼雲
奇妙な手品師
猫
琴を持った乞食と舞踏人形
海
薬
交尾
雲
籔熊亭
温泉
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
71
美しくも儚げな空気が流れている短編集。殆どの作品が初めて読む作品で、世界観に引き込まれずにはいられませんでした。『桜の樹の下には』の出だしが好きすぎてたまりません。遺稿が多いので、この話はどう終わるのか想像するのも楽しかったです。2020/04/08
テル35
59
「器楽的幻覚」フランスの若いピアニストの6夜連続演奏会にて。「演奏者の白い十本の指があるときは泡を噛んで進んでいく波頭のように、あるときはじゃれ合っている家畜のように鍵盤に挑みかかっていた。それが時々、演奏者の意思からも鳴り響いている音楽からも遊離して動いているように感じられた」梶井は音が心に入る瞬間を映像化して、さらに文章として書き込む。聴覚と視覚が一体であったフィルムが、視覚(=脳)と聴覚(=脳)に分離するわずかな揺れ動き、意識の最下部に到達する揺らぎを掬い取り、逃さずことばに換えていく。2025/11/09
優希
52
儚くて美しい短編の宝庫だと思います。研ぎ澄まされた感情が伝わってくるようでした。2022/01/12
優希
40
研ぎ澄まされた感性で描かれる世界に引き込まれます。2022/10/01
踊る猫
31
のっけから主語を広げるが、多分カフカやカミュを持ち出さなくとも誰もが生きていることに不安を抱えている。むろん、その不安を純度を高めて文章化したところにカフカたちの誠実さがある。梶井基次郎もまたそうした、「えたいのしれない不吉な」不安を抱えなければならず、その不安を愚直に見つめ孤独の中で書き続けたのだと思う。私自身なぜ自分が今死なないのかとまで思い詰めた状況で読んだせいか、彼の言葉が沁みて感じられた。意外とフェルナンド・ペソア『不安の書』の隣にこの本を置くこともできなくもないかなと思う(私はそういう読者だ)2022/08/08
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- 洋書
- The Teacher




