内容説明
父と兄に見守られて育った幼い日々は、学校に通うようになって、がらりと変った。小さな肩に背負いきれないほどのつらい出来事が彼を襲う。さまざまな衝突をくり返し、死を考える彼をささえたのは、人間のやさしさだった。戦時下の日本に生まれ、敗戦を迎えるまでの一在日朝鮮人少年のおいたちをたどりながら、人間が生きることの意味を考える。
目次
朝鮮と日本のかかわり
父と兄に見守られて
はじめての外の世界
死のうとする父
朝鮮人という意識へのめざめ
阪井先生との出会い
戦争と死の決意
戦後の歩み
著者等紹介
高史明[コサミョン]
1932年、山口県に生まれる。在日朝鮮人二世として、さまざまな困難の中、多くの職業を経験、その間独学。最初の小説『夜がときの歩みを暗くするとき』(筑摩書房)を発表し、以後作家生活に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
26
在日の観点からの当時の世情がよくわかる話です。心の葛藤や成長が丁寧な語り口で書かれています。2023/10/25
蓮華
24
差別、貧困の極限を体験した著者の言葉はとても深い。 壮絶な時期を過ごしたからこそ語れる優しさの意味、生きることの意味。 普通に何事もなく過ごせることの有り難さを感じさせてくれました。2018/11/24
三平
21
1932年生まれの在日朝鮮人の著者が少年時代を振り返り、今を生きる少年少女たちに向けた書いた本。著者とは性格も出自も置かれている立場も違うが、傷つきやすい子供時代に感じたあの悲しみ、腹立ち、喜びは同じ人間として深く共感できるものばかり。あの頃はわからず大人になってからようやく見えてくる大切なものに光を当て、真摯にあたたかく語り掛けてくる。まるでケストナーを彷彿とさせる名文。 特にひねくれた乱暴者だった著者を見捨てず、厳しく向き合った阪井先生とのエピソードは感動した。本当の優しさとは何かを教えてくれる一冊。2015/11/24
無識者
17
いろいろ共感ができ、感動した。私は他者に対して攻撃的になるところがあるわけだけれども、もっと別の方法はないのかと思いつつもその方向に行ってしまったりしていた。話自体とても面白いけれども、戦争当時の在日朝鮮人が一体どういう思いをしたのかも知る上では役に立つ。岡真史がこれを読んでたらどうなっていたんだろうとふと思う。2015/05/16
あこ
17
戦時下から敗戦を迎えるまでの在日朝鮮人少年のおいたち。こういった事実を知らなかった‥朝鮮人として生き抜いた父が、終戦後に見せた言動に、どんなに救われたことだろう。人種などの差別や衝突を考える時、いろいろなものを取っ払って、ひとりの人として向き合うことを忘れてはならない。『人の世の創造的ですばらしい関係は、なによりもます、人が人を憂えることからはじまるといえるでしょう。』(優しさ)2014/11/29