出版社内容情報
戦後80年を経て日本はなぜ再び情報敗戦に直面しているのか。松本清張やアレントらの視点に学び、日本に巣くう情報のカラクリを暴き、歴史の虚実を検証する。
内容説明
この国において、政府やメディアなど権力の「大本営発表」への批判精神が皆無なのは八十年前と同じ。知識人も庶民もしっかりとした歴史を見る眼を持たず、歴史に無関心なため、いま再び「情報敗戦」に直面しているのだ。正しい歴史観を持たない限り、日本は今後も新たな敗戦への道をひた走るだけだろう。松本清張や辺見庸、アレントやサイード等々、内外の知識人たちの遺してきた貴重な史論や思想を手掛かりに、日本社会に隠された「情報のカラクリ」を暴き、歴史の虚実を検証する。
目次
序章 問題の発見
第1章 史観で眺める日本
第2章 「昭和維新」と満洲
第3章 清張史観の遺したもの
第4章 戦後日本とは何か
第5章 世界史的大転換
第6章 人間とは何か
第7章 「民主主義は暗闇の中で死ぬ」(Democracy Dies in Darkness)
結章 絶望に抗う
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
55
何とも胸くそ悪い内容の本を(途中まで)読んだ。戦前から戦後、現在に至るまでのわが国の政治、社会、経済情勢について、諸外国の論客に依拠した党派性丸出しの独断と偏見でこき下ろす姿勢は、日々の生活に勤しみ、楽しみ悲しみもその中から生み出される日本の風土から立ち上る人々の思いとは遠く隔たっている。思うに、海外での研究者生活が長かったという著者は、わが国の庶民が抱くありきたりな生活感情さえ遮断された、情報敗戦の一方の当事者ではないか。占領という戦後の閉塞空間の中で醸成された史観にしがみつくのは願い下げにして欲しい。2025/05/07