出版社内容情報
過去にどのようなことがあったために、いま私たちはこのように感じ、思い、考えるのか。碩学による「日本」をめぐる長年の思想史探究を集成した珠玉の小文集。
内容説明
当時の言葉を正確に読み解くことで、昔の人々の思考を解明し日本の文化や社会についての俗説の誤りを正してきた著者が長年の研究成果のエッセンスを集成した珠玉の小文集。
目次
1 その通念に異議を唱える
2 日本思想史で考える
3 面白い本をお勧めする
4 思想史を楽しむ
5 丸山眞男を紹介する
6 挨拶と宣伝
著者等紹介
渡辺浩[ワタナベヒロシ]
1946年、横浜生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学法学部教授、法政大学法学部教授を歴任。現在、東京大学名誉教授、法政大学名誉教授、日本学士院会員。専門は日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紙狸
17
2024年1月刊行。江戸時代の思想家を扱った『日本政治思想史』が面白かったので、同じ著者の小文集と知って購入した。様々な媒体に発表した小文を集め、中には1980年代に書いたものも含まれており、これはこれで自分の仕事の広がりを示そうとした構成なのか。小粒ながら知的な刺激をもつ文が並ぶ。トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』を論じて、明、清の中国にまで射程を伸ばした一文などハッとさせされる。ただ丸山眞男に関連した文は、それ自体は明晰なのだけれど、丸山について本当に言いたいことはどこにあるのか分からなかった。2024/02/03
さとうしん
12
渡辺浩の雑文集というか自著も含めた書籍の紹介・書評・解題を中心とする文集。「可愛い」ことを求められる日本の女性、「性」を学界の重要課題として見なしてこなかった日本の政治学会の問題(これは歴史学に対する批判として現在も有効であろう)、「儒教」を宗教と見なすべきかという問題など、読みどころが多いというより著者が取り上げる論著が読みたくなるという仕掛け。テキストを適切に理解するためにまず自分の名乗りからしてそれらしく変えたという荻生徂徠たちの試みはなかなか真似できそうにないが、面白い。2024/04/10
papahaba
0
儒教、明治前の日本思想が、決して遅れたものではなく、その時代での思想家が影響力をその時代・今も残っている事が分かる。2024/06/24