出版社内容情報
Gott(神)、Geld(お金)、Google(情報)=3つの「カミ」と、対応する3つのリアリティから人類の精神史を考える。気鋭の宗教学者、最後の書。
内容説明
Gott(神)、Geld(お金)、Google(情報)という3つの「カミ」(3G)と、対応する3つのリアリティ(3R)。本書はこのフレームをもとに、狩猟採集民の時代から情報化社会の現代にいたるまで、人類の精神のあゆみを考える。そうすることで、人類精神史を貫く原理や転換点が見え、未来へ向かうための座標を獲得することができるだろう。危機の時代に生きる人びとに向けた、博覧強記の宗教民族学者による最後の書。
目次
第1章 三現実史観
第2章 二種類の宗教
第3章 四つのイズム
第4章 動物からヒトへ
第5章 狩猟採集民の世界観
第6章 定住化と自己家畜化
第7章 農母性と牧父性
第8章 ユーラシア大陸と“軸の時代”
第9章 日本語とコミタートゥス
第10章 未来へ進んでゆくために
著者等紹介
山田仁史[ヤマダヒトシ]
1972年、宮城県生まれ。宗教民族学者、神話学者。東北大学文学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程満期退学。ミュンヘン大学院修了。東北大学大学院文学研究科准教授を務めた。2021年に逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
44
今の自分の生活の在り方、ものの考え方にも通じる歴史。その延長線上に、今の自分があると思いながら読んだ。狩猟生活・農耕生活、縄文・弥生、文明というものの歴史や文化も、ここに書かれている視点で考えると、新しいものが見えてくる。思い・もの(お金)・情報という3つの視点で考えることは、今を、そしてこれからを考えるのにヒントになる。2023/04/04
タカナとダイアローグ
18
田村光平氏著書のあとがきに紹介されており、かねてから書店で並んでいた佇まいとタイトルの大胆さ(人類精神史‥!)で読むことに。小粒の研究者になるまいというような気概と、余命がないことを自覚しているのかという縦横無尽な領域を山田先生ならではの環世界で記述したものと受け取った。宗教の構造図解、イズムの図解等、大胆。知的好奇心を刺激、もっと知りたいと思う。2024/02/13
kanaoka 57
6
執筆中、若くして逝去されたとの事、大変残念です。 それもあり、全体的な纏まりの悪さを感じるのですが、各章の内容は、それぞれが大変興味深いものです。特に狩猟採集民の世界観、定住化、自己家畜化、農母性・牧父性、騎馬民族の交流と軸の時代は、学ぶ事が多くありました。 人類精神史というタイトルは、本書の内容を表すのに、的を射たものと思います。2023/02/13
y
2
本書執筆中に著者が逝去されたとのことで、読後感はややまとまりのない感じでした。 が、自分のちっぽけな頭で日頃ぼんやり考えていたことが言語化されているようで、うんうんと頷きながら読みました。 著者が逝去されなければ、本書の内容をまとめ上げるような新たな視点が提示されたのかも、と思うととても残念です。 宗教の整理はとてもわかりやすかったです。2023/12/14
kana0202
2
見取り図がわかりやすく、宗教を考えるときに参考の軸となりそう。コミタートゥスのところが案外おもろい。2023/02/24