出版社内容情報
戦災・震災後の鎮魂の盆踊り、団地やニュータウンの盆踊り、野外フェスのような盆踊り、コロナ禍の盆踊り…コミュニティーの変遷も見えてくる盆踊りの戦後史。
内容説明
盆踊りは、戦後大きく形を変えてきた。敗戦、高度経済成長、ニュータウンの造成、バブル、東日本大震災、地域の高齢化・過疎化、そしてコロナ禍…。人が集まり、音頭にあわせて踊ることは、楽しいだけでなく、人や地域にとって大切な役割を持っている。そして、その役割も時とともに変化してきた。盆踊りを通して、日本の地域コミュニティの変遷を見つめ、その未来を考える。
目次
第1章 日本の近代化と盆踊り―明治~昭和初期
第2章 戦後復興と盆踊りの再生―昭和二〇~三〇年代
第3章 高度経済成長期の新たな盆踊り空間―昭和三〇~四〇年代
第4章 団塊ジュニア世代と盆踊り―昭和五〇年代
第5章 バブル最盛期の盆踊りと衰退―昭和六〇年代~平成初期
第6章 東日本大震災以降の盆踊り文化―平成後期~現在
終章 アフター・コロナ時代の盆踊り―二〇二〇年夏に考える
著者等紹介
大石始[オオイシハジメ]
1975年、東京生まれ。ライター、編集者。日本の祭りや伝統芸能、アジアなど世界各地の大衆音楽/文化を中心に執筆している。旅と祭りの編集プロダクション「B.O.N」所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
11
図書館にて。本書を読んだのは、我が居住地の湖北音頭やかっぱ音頭を考えるためであったが、その件については前著である『ニッポン大音頭時代』で済んでしまった。民俗的な盆踊りってはあるんだけど、現行のやつはラジオ放送以降のモダンなやつである。2023/10/22
maqiso
5
盆踊りは明治時代に禁止令が出されたが、健全化・大衆化することで存続した。戦後は民謡や観光のブームにも乗って復活した。高度経済成長期以降、団地やニュータウンという新しい街で住民の一体感を生むために盆踊り大会が使われた。みんなで踊りを作るレクリエーションダンスの思想や、自由度が高く開催が容易なよさこい祭りのスタイルが影響して、盆踊りは曲もダンスも自由になり、ヒット曲が全国で踊られている。バブル崩壊後は衰退したが、震災復興で見直され、移民も含めた「ふるさと」の祭りとなっている地区もある。2022/09/25
蛸墨雄
5
盆踊り史はふるさとの喪失と創造であるとの言葉。様々な縁を結び直す場としての盆踊り、など、地域社会を立て直す切り札として、分踊りの役割はあるのではないかと説かれている。なるほど、わが町水橋もそういう観点で捉え直したいと思った。近年、富山市水橋地区の5小学校と2中学校が、水橋高校の校舎へと統合される。7箇所の校舎、校庭の有効利用ということを考えるヒントを貰ったかも知れない。2021/02/23
町営バス
3
高度経済成長時代、バブル景気。資本主義経済が隅々まで浸透するにつれて都市部への集中、地方の過疎という事象が表面化した結果、唱歌「ふるさと」に唄われた「古き良きふるさと」は神話となって消え去ってしまった。そんな中で伝統と現代音楽が融合した盆踊りを創造することは「ふるさと」を創造することである。個人主義が蔓延してコミュニティの崩壊が叫ばれて久しい現代において、自身の「よりどころ」が創造されることは、他人との関わりの中で生きていくしか無い人々の数少ない癒やしとなる。2021/02/07
takao
2
ふむ2022/07/03