出版社内容情報
ガイドブックよりも深く知りたい人のために! 台湾でも活躍する作家が、歴史、言葉や文化、そして各地の街と人々の物語を語ります。
内容説明
旅行先として人気の台湾。しかし、ガイドブックに載る情報以外のことは、実は日本ではあまり知られていない。歴史、ことば、神様、建築、地名、映画、そして台北、台中、台南などの町々…この一冊を読めば、知らなかったさまざまなことがよくわかる。台湾でも活躍する日本人作家が語る、この島と人びとの昨日・今日・明日の物語!
目次
第1章 北と南の物語
第2章 母語と国語の物語
第3章 鬼と神様の物語
第4章 赤レンガと廃墟の物語
第5章 地名と人名の物語
第6章 台湾と中国の物語
第7章 映画と旅の物語
著者等紹介
新井一二三[アライヒフミ]
東京生まれ。明治大学理工学部教授。早稲田大学政治経済学部卒。北京外国語学院、広州中山大学へ留学。朝日新聞記者、亜州週刊(香港)特派員を経て、中文コラムニスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
110
台湾の歴史や文化が語られたエッセイ。著者本人も意識したとあるように叙情性のある文章は台湾への親しみを感じさせる。そして現地の様々な側面を知ることができた。台湾というと台北となるが、そんなことはないよと台南、台中、花蓮などの話も盛り込まれている。また、どんな音楽や映画が流行ったか、その背景にある原住民や本省人の歴史的感情はどういうものかなど市井の目線の話も興味深かった。作家・呉明益さんの作品にある世代間の言語の違いの見解にはなるほどと。現地で流行っているという台湾一周の旅「環島」の体験談も良かった。2020/05/27
yyrn
22
祖父母は日本語、父母は中国語、子供たちは台湾語という家庭が多数だったという台湾。植民地主義の悪弊だが、この本ではあまり政治的には深入りせず、むしろ台湾の友人との会話やその家族の思い出話などの日常的な出来事や町の変化を通して、複雑な台湾の辿ってきた歴史を分かり易く教えてくれる本。「麗しの島」と評される台湾でもアクセントに残る本省人と外省人意識。中国語と台湾語。国民党と民進党。台北と台南などの対立軸はあるが、現代の台湾人はもはや誰もが当然のように台湾は台湾だ。中国とは違うと考えていることが読後に良くわかる本。2020/01/28
a*u*a*i*n34
14
仕事柄、台湾との関連が深いので改めて台湾の歴史と文化を学ぼうと。日本が台湾を支配していた過去は知っていましたが、松山も高雄も日本が強制した地名とは知りませんでした。2020/02/18
templecity
8
終戦時に600万だった人口で50万人の日本人が帰国し、150万人の外商人が本土から台湾に流入した。所謂、犬が去って豚がやってきたである。1895年から50年間、日本による統治があったわけだが、その間教育は日本語で行ったので、この世代に教育を受けたものは日本語しか話せない。李登輝もその一人。終戦後は中国語、日本語、台湾語が混在していたのだが、その後日本的な表現、地名は中国風に改められた。しかし、今でも松山、岡山など日本と同じ地名が残っている。(続きあり)2019/11/16
belier
6
17世紀のオランダに始まり、大国に翻弄されて続けてきた台湾。実は複雑な社会だ。この本は、苦難の多い歴史によって人々の暮らしや考え方がどう影響を受けたか、住む人たちの視点を紹介しようとしている。表舞台を扱った歴史本にはない、生きた庶民の心の動きが垣間見れるようだった。政治と関わる難しい話題もあるし、地名の意外な由来など楽しい豆知識を得られる話もある。最終章は著者が島を一周する旅行記。旅のガイドにもなるだろう。各地の食べ物は本当に美味しそうだったが、夜中に読むのはつらかった。2023/03/14