出版社内容情報
歴史にifは禁物だと言う。だが、この思考により、過去を深く理解し、歴史に埋もれた可能性を発見できる。その可能性を説く意欲作!歴史にifは禁物だと言う。だが、そうか? この思考により、過去をよりよく理解し、歴史に埋もれた可能性を掘り起こすことができる。その可能性を説く意欲作!
赤上 裕幸[アカガミ ヒロユキ]
著・文・その他
内容説明
歴史にifはないと言われる。そうだろうか?「もしもあの時、~だったなら」というifの思考は、ある時代を生きた人々の、実現しなかった願望、失敗に終わった計画など、「ありえたかもしれない未来」の把握を可能にする。歴史に埋もれた「敗者」を救い出し、「未来」への視角を開く「歴史のif」。SFのP.K.ディック、歴史学のファーガソン、哲学のベンヤミン、社会学の大澤真幸らを取り上げその思考を検討し、「歴史のif」の可能性を指し示す。
目次
序章 歴史にifは禁物と言われるけれど
第1章 時間線を遡って
第2章 一九九〇年代日本の架空戦記ブーム
第3章 ファーガソンの「仮想歴史」
第4章 「歴史のなかの未来」学派
終章 もっともっと多くのものが
資料編
著者等紹介
赤上裕幸[アカガミヒロユキ]
1982年生まれ。京都大学大学院教育学研究科教育科学専攻博士後期課程修了。博士(教育学)。現在、防衛大学校人文社会科学群公共政策学科准教授。メディア史、社会学を専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
21
「歴史のif」を論じた社会学の本。架空戦記やよしながさんの大奥等も取り上げられ、歴史修正主義や新しい教科書をつくる会が元気だった頃は、架空戦記も元気だったので、アレは歴史修正主義の亜種ですみたいなのはどうじゃろな…。論を詰め切れてない感じ。そら妄想は誰でもするんでは。よくある本能寺の原因はこれですな本も歴史修正主義なのか(困惑)…ところで筆者の年齢的に避けて通れないはずの大サトーへの記述が皆無なんですが、あえて避けたの???どうなってんのそこんとこ。巻末の歴史改変小説一覧が一番面白いまであるなこれ。2023/09/17
rosetta
19
もしもあの時~だったら歴史は変わっていただろうとは誰もが楽しむ空想ではあるまいか。クレオパトラの鼻が低かったらとか。SFや架空戦記などフィクションでは多くの作品があるが、それを学問的に位置付けようとする試み。歴史学の手法で過去を見直すとき過程を変えることで事柄の重要度が分かる。例えばコロンブスがいなくてもいつかアメリカ大陸にヨーロッパ人が到達しただろう。そうした仮説を紹介するのではなく学問としての成立を扱っているのでコンビニ本みたいな興味を満足させてくれる本ではない。しかしこの人の架空戦記のファンなのかな2019/02/10
さとうしん
13
「反実仮想」をキーワードに、『高い城の男』や『紺碧の艦隊』といった欧米・日本の歴史改変小説から、ファーガソンの『仮想歴史』といった学術的分析まで幅広く扱う。『一九八四年』のような未来小説も、ある時点で「過去」の事象を扱った小説へと変容するというが、「そうはならなかった未来」どころか部分的に「そうなりつつある未来」を示しているという評価のある堺屋太一『平成三十年』も俎上に挙げて欲しかったところ。2018/11/26
DEE
10
参考文献はかなりの数だけど、この本はそれらの書評なのか?と思ってしまう。 あちこちから引用して繋いだだけという印象が否めない。 面白そうなタイトルなだけに残念だけど流し読みで終了。2019/05/29
ふるい
10
面白かったです。歴史のifの可能性をただの思考ゲームとして考えるのではなく、学術的に捉える試みがあるとは知らなかった。巻末の歴史改変小説一覧も参考になる。2019/01/18