出版社内容情報
雇用が多様化する中で、柔軟で安定した職業人生を送る上で大切なのが「契約」。「契約」を軸に雇用の現在を浮かび上がらせた渾身作!
玄田 有史[ゲンダ ユウジ]
著・文・その他
内容説明
雇用契約の終了を突如提示されたり、事情が飲み込めないまま給与額が減ってしまったり。会社を信頼していればOKという時代は終わり、いまや正社員であれ非正社員であれ、自分の身を守るために、雇用は契約という原点を踏まえる必要がある。本書は契約期間を軸に、多様化が進む21世紀日本の雇用の現実を見据え、誰もが納得できる職業人生を歩んでゆくための、望ましい雇用社会のあり方を提言。悔いなき職業人生を送る上でヒントに満ちた一書である。
目次
第1章 「正規」の曖昧
第2章 大切なのは契約期間
第3章 多様化する契約
第4章 有期契約の現在と未来
第5章 契約期間の不明
第6章 期間不明のさらなる考察
第7章 変わりゆく契約
結章 契約から考える雇用の未来
著者等紹介
玄田有史[ゲンダユウジ]
1964年生まれ。東京大学社会科学研究所教授。労働経済学を専攻。著書に『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在』(中央公論新社、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞)、『ジョブ・クリエイション』(日本経済新聞社、エコノミスト賞、労働関係図書優秀賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
uD
18
「正規や非正規といった不明確な区分に翻弄され、契約がないがしろにされている」のが日本の実状だとした前提のもと、本書では「雇用は契約である」という当たり前の原点に立ち返り、“契約期間”を中心に働くことを見つめ直します。 曖昧な口約束がもたらす不幸を避けるためにあるのが「契約」。反論の余地はありませんが、冷たい印象を受けてしまうのは日本人の性なのでしょうね。 あらゆる労働は立場を問わず“契約”のもとに成立する、だから「空気を読むな、契約を読め」とはうまく言ったものですが、日本社会に浸透するにはかなり時間がかか2019/01/20
Mc6ρ助
9
労働契約において「雇用期間が不明」って、なに?、なんてな問題意識では、すでに今の日本の雇用問題は理解できない・・。『「雇用者が自分の契約期間がわからないのは、そもそも本人の意識が低いから・・」・・期間不明とそれに伴う不利な処遇は、雇用者本人の自己責任に・・しかし、その理屈は、振り込め詐欺にかかるのは、詐欺に遭った被害者が悪いというのと同じです。(p187)』ましてや、思いついて自分の雇用契約を見るようでは玄田さんの読者には相応しくはないかも知れない。2020/06/14
Hiroki Nishizumi
5
雇用契約について思想的な本だと思って手に取ったが、むしろ契約社員の統計的内容およびその解説が多かった。2019/10/24
sk
5
労働基準法と労働契約法の紹介とそれがどれだけ遵守されているか。サラリーマン必読かも。2018/11/25
お抹茶
1
正規と非正規という区分には厳密な基準はなく,勤め先における呼称に過ぎない。非正社員では,一年以下の臨時雇や日雇が減る一方,契約期間の長期化が広がっている。無期契約で働くパートタイム雇用も広がっている。若い人ほど雇用契約期間がわからないまま働いている人が多く,宿泊業・飲食サービス業,生活関連サービス業・娯楽業で15%以上。無期契約だった学卒非正規雇用者が翌年も就業すると年収増加が見られる。高齢就業者が働く手段として,有期の一般型雇用の増加が多様性のある雇用社会に必要。