出版社内容情報
かつて「正直者」は善人ではなかった!? 「誠実」な人もいなければ、「本心」を隠す人もいなかった!? 日本語の変遷を通して、日本的道徳観の本質を探る。
内容説明
本音トークがもてはやされている。「本心」を包み隠さず「正直」に口に出すことが、あたかも「誠実」の証しであるかのように言われる。そして時に、タテマエに立ち向かう正義の人という印象さえ帯びる。しかし、かつて「本心」を隠す人などいなかった。「誠実」な人も存在しなかった。「正直」者は馬鹿呼ばわりされたこともある。いったいいつから「本心」や「正直」が、正義と結びつくようになったのか―。今日の倫理観は必ずしも日本古来のものではない。中世から江戸期をへて今日に至る道徳観をめぐる言葉の変化を丁寧に跡付ける意欲的な日本精神史。
目次
第1章 本心(もとからある心;モトとマコトの境目 ほか)
第2章 正直(中世的な正しさとは;総合的な善人 ほか)
第3章 誠実(蘭学・洋学・実学;マゴコロの歩み ほか)
第4章 智恵(物語は書き直される;ヤマタノオロチ伝説 ほか)
著者等紹介
西田知己[ニシダトモミ]
1962年生まれ。日本史学者。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得退学。江戸文化を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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