出版社内容情報
無意識という概念と精神分析という方法を発見して「わたし」を新たな問いに変えたフロイトは巨大な思想的革命をもたらした。その意味および生成と展開を解き明かす
内容説明
エディプス・コンプレックス、リビドー、欲動論、夢判断…。フロイトは新たな概念を編み出し、「こころ」の広大な闇に挑んだ。その思想革命の生成と展開を読み解く!「無意識」の発見・「精神分析」という科学の誕生。
目次
第1章 精神分析の誕生
第2章 忘却と言い間違い
第3章 夢とヒステリー
第4章 幼児の性的な成長と性格の形成
第5章 フロイトの欲動の理論
第6章 社会という「檻」
第7章 人類の精神分析
著者等紹介
中山元[ナカヤマゲン]
1949年、東京生まれ。東京大学教養学部中退。哲学者・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
10
今年の夏のシルクさんの目標:フロイトを勉強すっぞ、おー! だ。こちらの本では、先に、鈴木晶の本を読みながら、「もそっと、ここを深く突っ込んで知りたい」と思っていた、第一局所論の「前意識」っちゅーもんについて読むことが出来た。第一局所論とわ:意識、前意識、無意識…つーので考える、フロイトの初期の構想。後に、「これじゃあ、大戦後の帰還兵士が訴えてる症状(※戦いの最中の恐怖に満ちた体験を、繰り返し夢に見る)を、説明出来ないよ」と練り直した結果新たに提出されたのが、自我、エス、超自我…てので考える、第二局所論。2022/08/11
またの名
10
明らかにアメリカの自我心理学に由来する記述をそうだと明記せずにフロイト理論だと紹介していた古い入門書のような単純化とは無縁の、力作。予め用意した用語をカタログ式に読み上げていく単純化を避けているのでサルでも分かるわけにはいかないけど、原典を細密にそのつど引用することでフロイトのダイナミックな概念とその思想変遷へより迫り易くなっている(精神分析は別名、力動dynamisch精神医学)。太古にすべての女性を独占していたとされる有名な原父の神話の元ネタを法学者アトキンソンの著作と比較している等、かなりの情報量。2016/09/29
井の中の蛙
9
初めてフロイトに関する詳しい本を読んだが、フロイトに対するイメージが割と変わったと思う。歴史的には発想がそこまで突飛でないことも分かった。議論の余地は多分にあるにせよ、重要人物であることを改めて再認識した。フロイトの思想の移り変わりとその背景が分かりやすく解説されていて良かった。2024/04/08
mstr_kk
8
フロイトの理論を整理し直したいと思い、かなり時間をかけて精読しました。文末の「である」の多さがちょっと異様でしたが、大小さまざまなレベルできっちり論理的に構成されており、分量が多いのもありがたいです。第二局所論から死の欲動へ話をつないでいくところがかなり煩雑でしたが、何とか乗り切りました。素朴な疑問ですが、第二局所論ができて第一局所論が廃棄されたら、『夢判断』とかの理論は全部間違いってことになってしまうのでしょうか?後期フロイトへの興味が増しました。現代のネトウヨとかも、ひとつの「症候」でしょうね。2016/04/17
りっとう ゆき
7
フロイトに関していままで断片の知識しかなかったので読んでみた。理論の変遷がコンパクトにわかりやすく書かれていた。新しい概念を見出したのもすごいし、それが人類学とか宗教とかにもつながっていくのがすごい。こういったことが、ほかの哲学者、思想家たちに多くの影響を与えてきた、と考えると偉大だなあと。 エス、自我、超自我って、読んでると自分の中にたくさんの自分がいる感覚になる。2021/04/24