出版社内容情報
法哲学とは、法と法学の諸問題を根本的・原理的レベルから考察する学問である。多領域と交錯するこの学を、第一人者が法概念論を中心に解説。全法学徒必携の書。
内容説明
法哲学とは、“法と法学の諸問題を根本的・原理的なレベルに遡って考察する学問”である。それは法学だけに留まらず、倫理学・政治哲学・経済学・歴史学といった領域とも交わる。法概念論や正義論をはじめ、法哲学における中心的議論はどのような性格を持っているのか。ケルゼン、ハート、ドゥオーキンなど代表的法哲学者への批判を行いつつ、明快に要点を解説。各章末には文献解題を付す。今日望みうる最良の法哲学概論。
目次
序論 法哲学とは何か?なぜ学ぶのか?
第1章 法概念論は何を問題にしているのか
第2章 法実証主義とは何か
第3章 ケルゼンの「純粋法学」
第4章 H.L.A.ハート―開かれた問題群
第5章 ドゥオーキンの解釈的法理論
第6章 正義論
第7章 メタ倫理学
著者等紹介
森村進[モリムラススム]
1955年東京生まれ。1978年東京大学法学部卒業。現在、一橋大学大学院法学研究科教授。法学博士。日本法哲学会理事。専攻は法哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
15
手に取りやすく分かりやすい法哲学の教科書がない現状を打破することを目的に書かれた本書。法概念論、法解釈、正義論、メタ倫理学を扱う。法概念論に多くの紙面を割き、ケルゼン、ハート、ドゥオーキンの概説と筆者の見解が書かれる。一度読んだだけでは内容を掴めなかったのでまた読まなければ。2015/05/08
孤独な読書人
9
なかなか難しい。もう一度読もうと思う。2017/06/25
まさにい
6
哲学にしろ法哲学にしろどうも西洋の学問は一神教的な呪縛から離れることができないのではないだろうか。何か一つの真理を求めてしまう。多神教的な世界では真理は一つではなく問題提起の仕方によって回答が異なるのは禅の世界で証明されているようにも思われる。問題はより良い生活という目的のために、もしくは日々笑って過ごせる幸せのために、法はどのように奉仕できるのかという問題提起が大切なのではないだろうか。憲法改正が言われる昨今、どのような問題提起が考えられるかを考えるのが需要なのではないかとこの本を読んで思った。2021/04/18
おやぶたんぐ
4
学生時代以来の法哲学の話。そこに出てくる視点や構想、思考法は、法で飯を食う者として(当然と言えば当然だが)興味深い。それでも、話が抽象的に過ぎて今ひとつ、という感じのままに読み終えてしまった。法哲学の簡潔な基本書という性質上やむを得ないとは思うけれど…2020/12/21
プラス3
4
“『正しさ』を定める規範とその原理は、誰にもわかるように語られなければならない。ここが自然法則との大きく違うところだ。引力の法則を理解していようがいまいが、ビルの窓から飛び出せば下に落ちる。だが、『正しさ』は人に理解されてはじめて『正しさ』としての力をもつ”――「おろかもの」の正義論――。実力不足で消化しきれず。まあ、法を守る絶対的な根拠とか正しさの理由とか、そういう小難しいことに興味があれば読んでみるといいかもです。2016/01/09