出版社内容情報
鋭い美意識と明晰さを備えた加藤さんは、自らの仕事と人生をどのように措定していったのだろうか。没後に遺された資料も用いて、その「詩と真実」を浮き彫りにする。
内容説明
「研究ノート」や「詩作ノート」など、未発表資料を紹介しつつ、これまで世にあまり知られていない側面に光をあて、「加藤周一とは何か」という問いに答え「加藤周一の生き方」の基本に迫る。
目次
第1章 一万頁の「ノート」が語る―加藤周一の「理由のある自信」
第2章 相聞の詩歌を詠むとき―「詩作ノート」『薔薇譜』そして『幻想薔薇都市』
第3章 あり得たかもしれない三つの人生―『三題噺』考
第4章 いかにして加藤周一は「加藤周一」になったか―『羊の歌』「『羊の歌』その後」
第5章 談論は風発する―対談の愉しみ、講演の悦び、会話の娯しみ
第6章 諧謔と諷刺と遊び心と―「真面目な冗談」の心性
第7章 観客との連帯―築地小劇場から『富永仲基異聞 消えた版木』へ
第8章 読者への恋文―「あとがき」考
第9章 林達夫と加藤周一―「読む人」と「書く人」
終章 「加藤周一」とは何か―その基本的立場
著者等紹介
鷲巣力[ワシズツトム]
編集著述業。1944年東京都生れ。東京大学法学部卒業後、平凡社入社。『太陽』編集長、同社取締役を務める。退任後、東京大学新聞研究所、明治学院大学、立教大学、跡見学園女子大学で非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
5
日比谷高校 東大医学部!基本的に医師。複雑で多面的な思想と行動。膨大な知力の識者。…綿密なノート 情熱の相聞の詩歌 生涯もちっけた怒り 水面下での政治活動 諧謔と風刺に富む文章 市民との連帯の希み 早熟にして晩成、理知的にして情熱的、詩人にして科学者である加藤周一。研究ノートなど未発表資料を紹介しつつ、知られざる側面に光をあて、加藤周一とは何かという問いに答え、加藤周一の生き方の基本に迫る。「読者への恋文」としての「あとがき」あり…2013/02/26
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
2
「加藤周一」というキャラクターについて、『読む』でも示された筆者の視点(理にして情の人)から『読む』よりも詳細に論じる。『読む』と比べて、こっちは「加藤周一ファン」向け。〝ファン〟の定義は、海老坂武流に言えば、『羊の歌』を面白いと思うかどうか。私は全く面白いと思わないので、〝ファン〟ではないらしい。ファンでないのに加藤を読む理由は、加藤の思索が(公に対する)「私」という思索の思想的課題の端的な表現である、と思うからにほかならない。どういう意味か。それをこれから考える。2015/09/04
takao
1
加藤周一著作集 ルーズリーフ型ノート:主題別にファイリング。執筆準備(原文の抜書、要点の箇条書き、注釈) ノート:原典主義。 2020/09/18
leppe
1
「無為にして化するの道は、かえって、人生の幸福に大切であるかもしれない。」2017/08/23
はちめ
1
長期にわたって直接接した人だけに人となりまで伝わって来る。全編面白かったが林達夫との比較は特に秀逸。前作も是非読みたい。2015/12/06




