筑摩選書<br> 公共哲学からの応答―3・11の衝撃の後で

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筑摩選書
公共哲学からの応答―3・11の衝撃の後で

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784480015327
  • NDC分類 301
  • Cコード C0310

出版社内容情報

3・11の出来事は、善き公正な社会を追求する公共哲学という学問にも様々な問いを突きつけることとなった。その問題群に応えながら、今後の議論への途を開く。

内容説明

二〇一一年三月一一日に東日本を襲った大地震と大津波、それにともなう福島の原発事故は、実際上の問題だけでなく、公共哲学という“善き公正な社会を追求し、現下の公共的問題を考える”学問にも様々な問いを投げかけることとなった。それらに今どのように応えるのがふさわしいのか。日本における第一人者が、議論の手がかりとなる有力な学説を紹介しながら、3・11以降の社会を考えるための羅針盤を提示する。

目次

序章 3・11の衝撃と公共哲学(公共哲学とポスト3・11―その意味するもの;3・11が突きつけた諸問題と諸課題)
第1章 公共哲学の「人間‐社会」観と倫理観(「滅私奉公・滅公奉私」対「活私開公・滅私開公・滅私開公=新しい公共」;「活私開公」の政治思想;「滅私開公」の政治思想;新しい倫理的なヴィジョン;「居場所」/「出番」とグローカル公共哲学)
第2章 メディアと宗教の公共的役割(メディアをめぐる二〇世紀の古典的論争―リップマン対デューイ;公共世界を活かすメディアへの途;欧米の論客たちの「宗教と公共」論;日本の知的端緒の再発見;宗教間対話と協働の公共哲学のために)
第3章 新しい「公共的な諸学」の構想(「自然‐技術」観、歴史観、そして、学問論の問い直しへ;ポスト専門化時代の学問理念―現状分析・ヴィジョン・政策論;責任倫理、リスク社会、人間の安全保障と人間の発展;科学技術の将来とガヴァナンス―熟議民主主義に向けて;経世済民の学のために―意識改革と公共的価値論)
第4章 これからの正義と人権の話をしよう―サンデル・ブームを超えて(ロールズ以降、何が争点とされ、何が争点とされていないのか;正義の危うさにどう対処するか;グローバルな正義をどう考えるか;環境的正義とは何か;応報(報復)的正義対関係修復的正義―罪と罰をめぐる正義論の相克
これからの日本のグローカルな役割)

著者等紹介

山脇直司[ヤマワキナオシ]
1949年青森県八戸市に生まれる。一橋大学経済学部卒業。上智大学大学院哲学研究科修士課程修了。1982年ミュンヘン大学にて哲学博士号を取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻教授。専門は公共哲学、社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sk

4
3.11に対して公共哲学の立場からの応答を試みたもの。様々な哲学者の立場を著者なりにアレンジして工夫を試みているが、今一つ踏み込みが足りないかもしれない。2018/10/08

Bevel

1
「(...)公共哲学は、諸学問を横断・媒介し、それぞれの学問がどのような公共的問題と絡むかを伝えるようなトランスディシプリンとして理解されるべきでしょう」(129)とか「他者と分かち合えるイメージの喚起力」としての「公共的想像力」が重要だというのはよいけど、結局具体的な問題に対応した経歴もないし、別の学問側の視点に立った記述もゼロだから、説得力がないんだよなあ。ポパーの「漸次的工学」、「べき」論が「できる」論を含まないといけないという『歴史主義の貧困』の話が面白かった。 2021/07/30

むとうさん

1
実は以前この人の講義を受けたことがあるのだが、表面的にはなぞれても結局何が生まれるのかさっぱりだった。4年ほど経って同著者の本を読み直してみたが、やっぱりわからない。ただわからない理由はなんとなくわかって、多分「公共」というものが何なのかハッキリしないのだ。加えて結局今どうしてこのような問題がおきているのかというのにはノータッチ。それでこの理想は実現できるんですか。現状って支持する人がいるから起きているんだけれど、彼らをどう説得するんですか、あるいは無理矢理変えるんですか、それは公共的なんですか…等等。2012/09/22

AR読書記録

1
まずは「公共哲学」というものを知らなかったので,目からうろこがぼろぼろ.このなかで括弧付きであげられる沢山の言葉がどれもこれもとても重要な言葉なり概念だと思う.全部把握できるまで,何度でも読みたい.それにしても「公共」.たとえ望まないとしても社会で生きる人間,他人との関わりは持たざるをえません(直接的なものでないとしても,視野に入るというだけの意味でも).その点だけでも他者への意識(配慮)は必須なはず.「個人」を大事にする意識がすごい勢いで(過剰なまでに)浸透したことを思えば,これからは是非逆方面を.2012/04/26

たかし

0
「活私開公」の価値感。国≠公。 ①義務、②徳、③公共善・公共悪の3つの倫理からなり、①・②は人間の行為、③は社会制度。①義務倫理は「活私開公」と「滅私開公」の連携のための基礎であり、A.道徳義務(尊敬に基づいた行為の必然性)とB.法義務(外的な強制力)がある。②徳の倫理は、「活私開公」を支えるための基礎であり、アリストテレスの賢慮、東洋の仁義礼智、A・スミスの勤勉・節約など。③は公共善と公共悪は社会制度と政策の基礎であり、ローマ共和制、トマス・アクイナスの共通善、現代では医療・年金・教育・金融などの諸制度2011/12/25

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