筑摩叢書<br> 写真の時代

筑摩叢書
写真の時代

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 231p/高さ 19X14cm
  • 商品コード 9784480013552
  • NDC分類 740.4
  • Cコード C0372

内容説明

光学から化学になり、さらに電子工学に吸収されようとしているカメラ・テクノロジーの発展とあいまって、写真の日常生活への普及は極限に達しようとしている。他方で写真の作品化がすすみ、美術館に収蔵されたり、オークションにかけられ高値で落札されたりするように、もう充分に芸術品扱いを受けている。写真をめぐるこのような状況をニラミながら、あくまでも素人の場所から、ノンシャランな構えとみせて鋭い批評を加えたのが本書である。

目次

キカイの自立性
モデルは聖者である―写される側の表現と論理
月例コンテスト流写真
闇の犯行―シリアス・アートのいわれ
なぜ題をつけるか―写真の自主性を考える
揶揄の視線―「女が見る女」と「男が見る女」
吹けば飛ぶよな想像力―航空写真
カメラの高級化―使用説明書を読みながら
不許可写真―記録性の逆転劇
絵のような写真―ウィリアム・エグルストンの世界
戦争写真集―石川文洋のベトナムの記録
かなしみの壺―リチャード・アベドンの「肖像」
さまざなま花―須田一政『風姿花伝』
ハダカの女と女の裸―E.J.ベロックの写真
写真師の写真―写真の開祖上野彦馬
写真の日本画―前田真三『出合の瞬間』
ひかえ目の美学―増田彰久『フランク・ロイド・ライトの世界』
こわい写真―レニ・リーフェンシュタールのヌバ族
これからの「写真史」―JPS編『日本現代写真史』を見て
奢るなかれ現代の聖像製作者
青春と時代の憂鬱―桑原甲子雄氏に会う
「顔写真」と無署名性
庶民の遊び―自動焦点カメラで写してみた
写真のためにはなにも存在しない
「写真の時代」の終り

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

A.T

25
【富岡さん追悼読書5】約40年ぶりの再読。印象的だったのは、素人の写真コンテストは何十年たっても変わり映えないことへの考察。撮影技術を講評されるうちは永遠の素人であり、その枠を超えるものはコンテスト優勝もない… これは写真に限らずで、多くの伝統的な日本のコンテストに共通かも。次いで、レニ・リーフェンシュタール「ヌバ」は、現在内戦状態のあのスーダンの、ヌバ族を撮影した日本でも話題になった写真集だが… アフリカといえばほぼ全裸で男も女も幾何学模様の刺青を施しただけでも美しい肉体美…という(続く)2023/04/30

ほじゅどー

9
★★★★人物写真というのは、いくら撮らせてもらう人間の承諾を得た場合でも、その人間の前にカメラを構えて立つ時、相手の暗闇もそこにあると言える。例えば私を撮る写真家は私の暗闇の一部をうまくかっさらうことで、その写真の一部を成立させているはずである。私の隠しておきたいものの一部を必ず見ているはずである。そういう意識は写真家にあるはすだと思うが、どうなのだろうか。いい写真を撮ることは、やはり「悪いことをしている」のだと思うが、そのところ、写真家はどのように感じているのだろうか。2016/07/18

ひつまぶし

1
写真の分析をしなければならなくなったので、参考までに読んでみた。著者は詩人で作家らしいがよく知らない。いずれにせよ、写真の専門家ではない立場からの写真批評はおもしろかった。作品を読み解くというより、撮影者の立ち位置であったり、写真という手段についての分析が主になっている。写真には興味がないつもりだったが、こんな本をもらい受けて所蔵していたり、気になって買ったものの、つまらなくてほったらかしにした写真集が家にあることに気づいた。読み解かねばならない必然性がなかっただけで、記録としての写真に関心はあったのだ。2022/05/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/194380
  • ご注意事項

最近チェックした商品