内容説明
「孤島」とは極度に孤独な精神、卑俗なまでに謙譲なある魂が回帰する「至福の島々」である。人生における特権的瞬間を美しい文章に結晶させた啓示の書。
目次
空白の魔力
猫のムールー
ケルゲレン諸島
至福の島々
イースター島
想像のインド
消え去った日々
ボッロメオ島
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おか
30
ジャン・グルニエは カミュが生涯 師と仰ぎ グルニエは17歳のカミュの才能を見出し 彼に文章を書くことを勧めた人です。カミュの「異邦人」は この「孤島」に影響されて書かれた。しかし 「異邦人」のあの灼熱の太陽の世界とは打って変って 「孤島」は淡々と大人の口調で語られている エッセイの様な感じです。カミュが序文を書いているが そこには 師に憧れ 追い求める 若さ溢れるカミュがいます。グルニエの追い求める自分自身とカミュの求める自分自身 同じなのだろうが カミュの短兵急さに若さを感じた。2017/03/31
№9
18
ずっと若いころ、自分を見失い道に迷って途方に暮れていたころに、横浜伊勢佐木町の有隣堂本店でふと手にした本がこれ。始めは立読みで、そこにカミュが序文として寄せているある一節があるのだが、それを読んだとき、ずっと先のほうで一筋の光りが射し込んでくるような、「啓示」感というのかそんな感覚にとらわれて思わず購入した。著者の本文も素敵だが、僕は著者の本文はそっちのけで、カミュのこの序文をひたすら繰り返し読んでいる。そしてあれから30年、僕はいまだに読んでいる。
Koki Miyachi
7
カミュの師、ジャン・グルニエの内面世界がひらく啓示の書。安住の地を孤島と呼び、それらにまつわる哲学的な思索のテキストは、心にじんわり染み込んでゆく。訳者の筆者に対する愛情もとりわけ印象深い。2013/02/11
岩崎俊
4
カミュによる序文が非常に美しい。本文は、落ち着いた、何処か寂しげのあるようなものに思われる。しかし、無色の寂しさでない、彩りのある寂しさのような感じを受けた。短編集のようなつくりのため、気に入ったところを何度も読んだ。2014/02/05
kinoko-no
3
親しみを感じるのは東洋的思想に通じるものがあるからなのか。特に最初の「空白の魔力」は繰り返し読んでしまった。2010/04/06
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- 和書
- なぜ生きる