内容説明
矛盾を憎む正義感、破天荒な行動力、先を見据える透徹した知性―その思想は、危機の時代を乗り越える力となる。歴史家、作家、思想家達が、空前絶後の巨人の魅力を語り尽くす対談集。
目次
吉田松陰の生涯(奈良本辰也)
松陰の魅力について(河上徹太郎;奈良本辰也)
松陰の資質とその認識(橋川文三;司馬遼太郎)
松陰の思想の論理と倫理(松本三之介;橋川文三)
歴史における松陰の役割(桑原武夫;奈良本辰也)
松陰の精神とその人間像(村上一郎;保田與重郎)
西郷隆盛と松陰の比較(海音寺潮五郎;奈良本辰也)
明治・大正・昭和の松陰像(田中彰)
松陰イメージの可能性(橋川文三)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
13
ほぼ全員が『吉田松陰全集』を読んでいるであろう豪華メンバーによる吉田松陰を巡る対談集で、とても面白く読んだ。人により同じ事柄でも解釈や受ける印象が違っていてー松陰の「民衆」観であるとか、兵法家としての松陰の価値とかーそれが見解の違いとなっているのも興味深かった。私も司馬さんと同感で、こんな正直でうぶなひとが「兵は詭道なり」でもないだろと、松陰は「誠」のみを兵法として生きたような人じゃないかと突っ込みたくなる。本書の空気に染まり私も『吉田松陰全集』を読まねばならないのではないかと思わせられたが、悩ましい。2024/07/18