出版社内容情報
「不法は不法なのだから」「日本人が優先されて当たり前」――
よく聞くその「もっともらしい言葉」に、心がざわつくのはなぜだろう?
クルド系住民を巡る言説や入管問題、テレビで「外国人犯罪」報道が放送されるしくみまで。
社会学者で在日コリアン三世でもある著者が、SNSやときにリアルな場でみられる攻撃的な言葉に隠された「無自覚な排除」のメカニズムを、つとめて理性的かつ建設的に解きほぐします。
深夜のコンビニで著者が感じたリアルな「警戒感」や葛藤など、自身の体験も率直に告白しながら綴られる誠実な言葉。排除でも、ただ放置する多文化主義でもない。対話を通じて、足元から「私たちの新しい文化」を創り出すための、やさしく、深い、等身大の社会学入門です。
【目次】
▼第1章 多国籍化していくまちの風景 どのようにして、外国人は増えたのか
かれらは、なぜ日本にいるのか
わたしのまちのエスノグラフィ/ひとくくりに「外国人」というけれど…(短期滞在者/中期滞在者/長期滞在者)/日本は外国人をどう受け入れてきたか(Ⅰ期 戦後~1980年代/Ⅱ期 1980年代後半~)/制度の外側の外国人/移民が増えて、なにが問題なのか?/「日本に差別なんてあるの?」/「移民問題」の誤解と偏見を揺さぶる
▼第2章 偏見は私のなかにもある なぜ「怖い」と感じてしまうのか?
ある日、深夜のコンビニで…
「カテゴリー」が現実を単純化する/ステレオタイプのはたらき/偏見はなぜ悪なのか(偏見を受けることに慣れてしまう/偏見が人の命を奪う/偏見が形成されやすい条件/政治と偏見)/偏見は払しょくできるものなのか(克服のためのステップ/「例外化」を乗り越えるために/上位カテゴリーをつくり出す)
▼第3章 マナーの〝悪い?外国人? 文化の概念から考える
外国人のふるまいが気になる…
社会集団に共有される文化/ふるまいのコードからの逸脱/二つの文化が接触するときに(ゴミの出し方、あるいは車内のマナー/だれもが逸脱者になりうる)/「文化」をまなざすときの注意点(共通性にも目を向けてみる/文化のダイナミズム/集団主義の誤謬/「洗練された文化」と「粗野な文化」)/外国人の「迷惑行為」を再考する
《コラム1》体験型ツーリズムが「観光の文化」をつくる
▼第4章 テレビはどう報道したか マスメディアの表象の責任を問う
「容疑者は、外国人とみられます」
「意味の動物」としての人間/情報化社会の到来とマスメディア/構築主義の社会像/テレビニュースを解剖する(ニュースに意味を埋め込む/ニュースから意味を読み取る/ニュースの送り手と受け手のやりとり/スキーマとデコーディング)/「外国人窃盗団」の構築/マスメディアとどう向き合うか
《コラム2》ニューメディアの「表象の責任」
▼第5章 「生粋の日本人」とはだれか? 人種概念を問い直す
人びとが信じる「血の論理」
「人種化」されたカマラくん/人種は存在するのか(肌の色の濃さに意味はあるか/顕微鏡のなかの「人種」)/人種という考え方はどこから来たのか?(反ユダヤ主義、白人至上主義と人種/アカデミズムの世界では)/日本に目を向けると…(アイヌ、琉球、朝鮮とのかかわり)/科学による「人種」の否定(日本における反人種主義の動き)/現代も機能し続ける「人種」(「特権」を享受するマイノリティ?/「在日特権」言説)/抵抗としての「人種」/人種神話を手放す
▼第6章 「日本人ファースト」への熱狂 国民国家とそのジレンマ
外国人は不当に優遇されている?
新しい共同体としての国民国家/ナショナリズムという不思議(「国民」のつくり方/伝統の創造/学校制度/戦争と徴兵制/国民は想像を介してつ



