内容説明
本当は「死にたい人」なんて、誰一人いない―。2016年より安楽死が合法化されたカナダで、その最初期から「死の介助」をしてきた医師は痛みや麻痺に苦しむ患者に「死」をもたらすことは救いだと思っていたのだが…。患者、家族、終末医療、法律…変わり続ける解釈や制度と、我々はどう向き合うべきか。
目次
プロローグ ヨランダが逝く朝
「死に方」を自分で選ぶ時代
ジョー
アイリーン
アシュリー
緩和ケアと医療介助死
シーラ
ソー
トム
ヨランダ―死ぬ決意
死を介助する医師の苦悩
ヨランダ―彼女が望んだ死
死の介助から学んだこと
「良い死」を求めて
エピローグ これからの医療介助死
著者等紹介
マーモレオ,ジーン[マーモレオ,ジーン] [Marmoreo,Jean]
医師、ライター、活動家、アスリート、冒険家。終末期医療の専門家。2016年にカナダでMAiD(医療介助死)が合法化されたのち、最初にMAiDを提供した医師の一人
シュネラー,ジョハンナ[シュネラー,ジョハンナ] [Schneller,Johanna]
ヒューマン・ヒストリーの分野を中心に活躍するフリーランス・ジャーナリスト
御立英史[ミタチエイジ]
翻訳者。訳書にスコット・ハーショヴィッツ『父が息子に語る壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書』、トハン・ガルトゥング『日本人のための平和論』(いづれもダイヤモンド社)ナド(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たこ焼き
7
緩和ケアなどの患者が利用できるすべてのリソースを検討しそれらが患者の要求を満たせないことをはっきりさせてから、安楽死を考えるプロセスにいくべきであり、QOL低下から急に安楽死のプロセスへ移行するのは危険。安楽死がおこなれるときには周りの家族が過ごす時間は周りの家族が満足するまで確保されなければならない。患者の話を聞くことで本当に患者が死を望んでいるのか、そして今でなければならない理由は何かを理解できる。患者だけでなく第三者の視点、安楽死対象としてみなすことを評価する人を複数にするなどで判断ミスを防ぐ2025/03/20
ぽんぽこ
6
ようやく読み終えられた!安楽死を通じて病気の苦しみといかに向き合うか、とても考えながら読みました。日本では禁止されていて、それでいて長寿大国も自慢していることが果たして正しいことなのか。QOLを置き去りにした延命治療を患者は本当に望んでいるのか。日本にMAiDに似た制度が導入されたらどうなるのだろうか。いろいろ考えさせられました。だから読了までに時間がかかったのですが。2025/04/13
ほなみ
5
安楽死は気になっちゃう。スイスでは安楽死が合法であり、日本からスイスに行き安楽死を求める人たちを追ったノンフィクション本は読んだことがあったが、医師側の目線で安楽死が描かれている本は初めて。 本書の舞台ではカナダでは、ホームドクター制度が整っているという前提があるものの、安楽死を行うドクターが専門化しているとのこと。ヒポクラテスの誓いに一見反しているように見えるため、なかなか人が集まらないのだろう。 多分日本でもそのうち安楽死は認められるが、その時周りの安楽死希望者に良かったねと素直に言えるのだろうか。2025/02/19
白いハエ
2
安楽死の合法化したカナダで、死の介助(MAiD)提供に携わる医師のエッセイ。七人の患者が紹介されているが、その中で唯一安楽死の提供されなかった認知症患者「シーラ」の娘の語りが印象に残る。「母がいま自分の姿を理解できるなら、生きていたいとは思わないでしょう」「判断が間違っていました」「でも、もし時間を戻せても(略)死なせるという選択肢は考えられませんでした」。どれだけ安楽死を望もうと、ことの瞬間には恐怖が浮かぶという。法が許そうと、希望がなかろうと、いつが適切な「死に時」なのか、誰にもわからない。2025/04/18
きっしー
1
医療介助死(MAid)に携わる、女性医師の献身的な活動。自ら死を望む患者に対して最終的なジャッジを下し、そしてその実行役も担う。自身の心も壊れてしまい、さまざまな葛藤に苦しみながらも、患者に寄り添い続けていく。日本でも最近、自殺幇助なる言葉を耳にする様になりました。高齢化、孤独死、格差社会などの問題を抱えた日本こそ、医療介助死の合法化に向けた取組が必要ではないでしょうか。 2025/05/18
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