出版社内容情報
おいしいアンソロジー第4弾は、喫茶店。
「喫茶店」アンソロジー。お気に入りの喫茶店で時間をつぶす贅沢、喫茶店での私の決まり事、ふと思い出すあの店構え、メニューなど。
内容説明
挽かれたコーヒー豆の香りと、気の利いたBGM。妙にしっくりきて、心が落ち着く、その店だけの雰囲気。コーヒー、紅茶、スイーツに軽食まで、メニューを眺めるだけで楽しい。一人だけの、くつろぎの時間。だけど、店にはさまざまな人々が訪れる。店員さんにもお客さんにも、それぞれの人生がある。古今東西の作家がつづった、私だけが知る喫茶店の魅力、40篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
155
毎日少しずつ、自宅で自分で淹れた珈琲と共に・・喫茶店しばらく行ってないなぁ。初めて行ったのは高校生の時だろうか(汗)あの頃はレスカとか、ココアとか?たまにナポリタンも食べたり。インスタントコーヒーしか知らなかった私がサイフォンを購入して淹れる事に夢中になった頃を経て、今は好みの豆をペーパードリップで自宅で独りって言うのがなによりホッとする。それでも喫茶店と言う言葉や場所、浸る時間を思うと心が凪ぐ。おいしいアンソロジー『喫茶店』40人各々の時間を楽く読んだ。2024/06/26
breguet4194q
116
喫茶店をモチーフに、鬼籍に入った大文豪から売れっ子芸人まで、計40人が執筆してます。各々どう喫茶店と向き合っているか様々です。この企画が面白い。自分の心の機微に合った作家を探せるかもしれません。ちなみに私は、詩人長田弘の良さを発見できました👍2024/06/14
シナモン
111
赤瀬川原平「運ばれてきたコーヒーにまず砂糖を少し入れ、スプーンでゆっくりとかき回す。それからスプーンをそっと抜き取り、ミルクをコーヒーカップの縁から、スロンと入れる。スロンと入れたミルクは、コーヒーの表面をゆっくりと渦を巻いて、星雲状になる…」これやってみたい。植草甚一「飲みだしたとき、もう一杯飲んでもいいと思うのに、飲みおわったとき、それだけでよくなってしまうのが、おいしいコーヒーだ」なるほど。古めな方が多い印象だったけど、それがかえって落ち着いた喫茶店をイメージさせて良かったです。 2024/09/26
モルク
102
40人の作家さんによる喫茶店にまつわるエッセイ集。既に鬼籍に入って久しい大御所作家さんもおり、様々な時代の喫茶店が語られる。いいなあ。ゆったりした時間が流れ、マスターこだわりの音楽に浸り、待ち合わせ打ち合わせにも利用した。携帯がなかった時代には二時間以上も待ちぼうけをくらったことも今では懐かしい思い出。最近はコーヒー一杯もなかなかの金額がするので家で飲むのがほとんど。洒落たカフェではなく昔懐かしいレトロな純喫茶でもさがしてみようかな。2024/07/22
Karl Heintz Schneider
52
一番心に残ったのは常盤新平さん。日比谷・三信ビル内にある「しぶさわ」、ここの女性店主の話がしみじみ良かった。「ただ食べてゆけるだけでいいんです。富を築くことを考えてはいけません。世の中が殺伐としているから、くつろげる場所をつくりたいんです。」コーヒー一杯400円。東京の一等地でやっていけるのだろうか。「コーヒーはかけそばの値段を上回ってはいけませんよ。コーヒーなんですから。」コーヒーなんですから、このひと言に、店主の矜持を感じた。日比谷の「しぶさわ」、近いうちに行ってみたいと思う。2024/06/25