内容説明
「わたしのセンスを試さないでください。」「生きるには、若すぎる。」「話すのが苦手って、本当?」「憧れは屈辱。」「優しさを諦めている。」…先鋭詩人・最果タヒが「劣等感」に光をあてて見つけた幾筋もの光の色と、煌めく言葉たち。書き下ろし20頁超を含む珠玉エッセイ集。
目次
コンプレックス・プリズム(天才だと思っていた;わたしのセンスを試さないでください。;謙虚殺人事件;本気の「好き」じゃないんじゃない?;「変とか言われて喜ぶやつは凡庸だ」;慰めたいとは思うけど。;生きるには、若すぎる。 ほか)
文庫版おまけエッセイ(まったく器が大きくないよ;幸せになりたいとかはない;大体のものが大体おもしろい)
著者等紹介
最果タヒ[サイハテタヒ]
詩人。1986年生まれ。2008年『グッドモーニング』で中原中也賞受賞、2015年『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
66
エッセイが読みたい人やコンプレックスに悩んだことがあるひとに読んで欲しい本になっている!タイトルにある『コンプレックスプリズム』とはおそらく私たち個人が思っているコンプレックスに囚われている様子がまるでプリズムのように見えるからだと思う。そしてそのプリズムから解放しようという本にはなっていない。この本は著者の最果タヒさんのコンプレックスを色んな角度から光を当ててコンプレックスについて考える話になっている。読んでいて色んなところが刺さった!2024/01/12
水色系
24
言葉に対して誠実な人であるという印象を改めて受けた。言葉を尽くして、可能な限り言語化するような感じが。2023/11/01
R子
17
エッセイ。10代・20代の頃に感じていたもやもやとした気持ちを丁寧に掬って差し出された感じ。懐かしさと、まだ過去のこととは言いきれない苦さがあった。自分は変わらないと思っていたけど、歳を重ねて物事の受け止め方は上手くなっていたとこの本を読んで気付いた。共感したのは、私も未だに人に心をひらくのが上手くなれないこと。どうにかしようとしてもどうにもならない。そういうことをいくつも抱えて、これからも生きていくんだろう。2024/07/30
アノニマス
7
「私は幸せになりたかったっけ、なれるなら、なりたいし、というよりは、ものすごい不幸が嫌だな、と思っているけど」というような多くの人がふと考えたことがありそうな内容を深く掘っていくようなエッセイ。「娯楽や芸術は、本当の意味で、人生を豊かにすることができる」という文章を読んで過去に知り合った何だか豊かな人生を送ってそうな人たちのことをふと思い出した。2024/01/27
近江マイコ
4
主に著者の価値観について述べられたエッセイ集。 最果タヒ氏の著作は幾つか読んだことがある。ただし、詩のほうは読んでも飲み込めないから苦手だが、エッセイのほうは思考の訓練になるので好きだ。 丁寧に言葉を選んでいる文の調子がシンさん(id:meltylove)のそれに似ている気がする。 僕が一度は考えたことがあることについては、「その先の先」まで考えている。そこが著者と僕との差だろう。何て言うかこう「言葉にすること」にもっと拘っていこうと思った。2023/09/17