内容説明
「こうなったら、湊屋の出店を頼るしかねぇな…」「無い物はない」江戸のレンタルショップ湊屋両国出店の娘店主は物だけでなく知恵も貸してくれるという評判を聞きつけて、今日も悩みと秘密を抱えたお客がやってくる―。慌てて借り出された五本の蛇目傘の本当の使い途は?お庸は通う湯屋を見張る者たちの目的は?お客が求める貸し物の陰に隠れた悩みや事情を見抜いて収めるお庸の謎捌きが痛快な、大人気書き下ろし時代小説、待望の第三弾!
著者等紹介
平谷美樹[ヒラヤヨシキ]
1960年、岩手県生まれ。大阪芸術大学卒。中学校の美術教師を務める傍ら創作活動に入る。2000年『エンデュミオンエンデュミオン』で作家としてデビュー。同年『エリ・エリ』で小松左京賞を受賞。2014年、「風の王国」シリーズで歴史作家クラブ賞・シリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
78
シリーズ第3弾。江戸のレンタル屋に勤めるお庸。口は悪いが気風の良さと心根は優しい女性。品物を借りに来た客がどこか不審げな感じがすると後をつけて正体を探るのが陰間(ゲイ)たちの仕事。いやいや、物を借りて後をつけられたらたまったもんじゃないでしょうよ。と、思ってはいたがこれがなかなか訳ありが当たりだと面白くなる。稲荷のお狐様だったり、死んだ遊女に祟られたり(耳なし芳一に似てる)河童が馬を襲う話とか、怪異が次々出て来るので昔話の感覚。これらをどう解決していくのかが読みどころ。続編が楽しみ!2023/08/16
真理そら
61
相変わらずお庸ちゃんは元気だけれど少し大人っぽくなったかも。荒っぽい言葉遣いがなんとなく粋に感じてしまった、慣れとは恐ろしいものだ。2023/06/25
はにこ
48
お庸の店には今回も訳ありな人々が物を借りにやってくる。霊や神様にまつわるお話が多かったかな。そしてお庸にしつこくまとわりつくお武家さん。一体何が狙いなんだろうね。綾太郎に全く気持ちが無いお庸。何か綾太郎がちょっと可哀想になってきた。命をかけて守るなんて蔭間だけど、めっちゃ男前。綾太郎と結ばれて欲しいくらい。2024/11/10
tomtom
20
お庸の口調にすっかり慣れてきてしまった。何日も見張ってまで、お庸の傷跡を見たがるその執念は何なのだろう。それにしても江戸時代の湯屋は混浴もあるし、お庸が裸を見られて泣くとは思わなかった。2023/08/16
to boy
20
江戸の貸し物屋湊店両国出店の店主を巡るちょっとした謎解き物語。「無い物は無い」店に借りに来るお客についついおせっかいを焼いてしまうお庸。なんでこんな物を借りるのかの推理が冴えていて楽しい一冊。2023/08/09