出版社内容情報
子供との関係を良くするコミュニケーション,悪くするコミュニケーション。子育てに悩む親に自信を与える具体的,効果的な訓練法の本。
内容説明
「親業」とはつまり、子育てのことである。それをあえて親業としたのは、従来の子育てのなかでは、「子供がいかに育つか」と、子供のほうにばかり重点がおかれていたのに対し、本書では、「子供が育つ上で親がいかに関わるか」という親の側に焦点を当てて子育てを見直すところに、ひとつの大きな特徴があるからである。
目次
親業にも訓練がいる―二千年前と同じでよいか
親も人の子、神様ではない―権威主義に代わる方法
「親になんて話せない」か―心の扉を開くことば
能動的な聞き方の実際―具体例と応用
子供が受け入れる話し方―相手に考えさせる
「わたしメッセージ」を使う―率直な感情表現の仕方
避けられない親子の対立―どちらが勝つべきか
親の権威について―必要かつ正当か
対立を解く「勝負なし」法―第三の方法
「勝負なし」法への親の懸念―親の立場は弱まらない〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mijas
24
仕事柄必要で友達から借りたのだが、再読したい本になった。コミュニケーション能力を高めるための具体的な対話がいくつも紹介されている。例えば、子供の感情を発散させるためにはどのような問いかけが有効か良い例と悪い例があげられているが、親子関係だけでなく、色々な人との関係に応用できる。間接的自己受容に依存するのではなく、自分自身を受容すること。他の人が自分をどう思うかではなく、自分を透明にすること。「嫌われる勇気」を思い出したが、この本でも、人と人との関係を育む上で大切なのは自分が変わる事だと認識させられた。2015/04/01
caizi
10
二児の親としては非常に耳の痛くなる本。1文1文ごとに自分の育児の1場面がよみがえり、後悔やら反省やら……。保育士として読むと経験上ぴったりくることが多く、改めて『親』って難しいと思う。勉強をしない息子との関わりの解決方法を期待しながら読んだけど、親が変えられないことの1つだとのこと。『変えられないことを受け入れる平穏を祈るしかない』らしい。『諦める』ってことやーん。そんなんありかいな。まぁ『受け入れる力=諦める力』とは普段から思ってるんやけどね。はい、諦めます。って簡単には諦めきれんっちゅうねん!2018/01/07
はなあぶ
8
親と子という関係だけでなく、全ての対人関係で応用できるコミュニケーションの上手な取り方。豊富な例と共に示されている。片方に権力が集中するような上下関係では、強い側が弱い側に一方的に結論を押し付ける形になりがちである。こんな関係を長く続けていけば、弱い側は不満を鬱積させ、いつかは心が爆発するだろう。心の病や犯罪に至るケースもある。子供は対人関係の築き方の基礎を親から受け継ぐ。親が正しい方法を学び、伝えていかなければ、不幸を繰り返す。円滑で良好な対人関係の築き方を知りたい全ての人の助けになる本だと思う。2014/02/23
ゆ
7
アドラーに通ずる部分があった。親が受容できないところにだけフォーカスする。髪型だとか親に影響のないことには干渉しない。能動的に親が子供の話を聞くことで、子供の思いを吐き出させ、自分で解決するよう導く。Iメッセージを意識。2020/09/06
おやつ
5
とても多くのものが得られた。親子関係のみならずすべての人間関係に応用できる、ポジティブでお互いを信頼し合える基礎になる姿勢が伝わった。私は心理学を専攻していたのだが、学生時代に読んでいたらもっと感銘を受けていたかも。怒りが発生するには、その原因となる第一次的感情があることを理解する。利害の衝突はどちらが正しいということはなく、お互いに共通する1つの問題と捉え全員が納得する答えを導く。ややボリュームはあるが密度が高くわかりやすい文章力。しっかりと心に残る感じがした。2016/01/17