内容説明
急成長中の情報機器商社「アドバンス」の取締役パソコン事業部長・畑山にとって、社長の木田はまるで父親のように重苦しく「超えられない存在」で、常に畏怖の念を抱いていた。何とか木田を超えたいという思いと、木田の下でずっと働いていたいという思いが交錯する毎日である。そんななか、巨大総合商社・扶桑物産が、室町銀行と組んでアドバンス乗っ取りを企てた。取締役の中には、乗っ取り側と通じている人間もいる。彼らの要求は、社長の交代―それを呑まなければ、銀行は融資を引き揚げるという。ここで木田を守ろうとすれば、畑山も社を追われる。四〇代を迎えた身で、家族のことが頭をよぎる。しかし、あの木田を見捨てろというのか…。「社長解任」の動議が出される取締役会の日。畑山は、ある決断を胸に秘め、役員室へと向かうのだった。
著者等紹介
金沢好宏[カナザワヨシヒロ]
1966年生まれ。大阪市出身。同志社大学工学部卒業後、山一証券に入社。アナリストとして、様々な企業、産業の調査・分析、レポート作成に携わる。97年の山一証券自主廃業に伴い、同社を退職。その後、大手消費者金融会社のIR(投資家向け広報)、独立系投資顧問会社のファンドマネージャーを経て、04年4月に独立。『社長解任動議』が処女作である
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