内容説明
早朝是正を求められた、業界下位の豊和生命保険株式会社。だが、増資のメドがたたない。このままでは業務改善命令が出されてしまう。そんな時、元官僚が代表を務めるという「ピュア・ファンド」が、増資ほか不良債権処理などを含めた合計100億円もの支援を引き受けてくれたのだ。しかし、増資の見返りに次々に怪しいファンドへの投資を要請される。経営企画室次長の野島は、経営陣がすでに会社が食い物にされている事実を知りながらも、いま会社を存続させるためだけに、その事実を黙認していることに気付く。現在の苦境を乗り切るだけで、会社のためになるのか。新たに打つ手は、本当にないのか。会社の存続とは何か、家族を守るために自分にできることは何なのか、悩み抜いた野島は、ひとつの決断をする。
著者等紹介
千代田哲雄[チヨダテツオ]
1947年名古屋市生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒。日本工業新聞を経て、1974年時事通信へ。盛岡支局に勤務の後、本社で証券・金融を専門に取材。2001年より千代田圭之のペンネームで執筆活動に専念し、環境問題や現代医療などをテーマにした小説を発表。経済小説に新境地を求め、本名での執筆に転じる
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感想・レビュー
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まだもう舜
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ぬるま湯経営者達の危機感のなさが、危ない取引を進めてしまう。 野島次長が、あまりにも真面目に煩悶するのが少し違和感あり。2015/10/12
まめちゃん
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初めて読む作家でしたが、描写がとても丁寧で、臨場感がありました。 昔勤めた業界での物語りですが、経営破綻を何とか回避しようとする 経営者や、中間管理職の姿がリアルに描かれていると感じました。 でも人間はやはり昇進などにより性格は変わってしまうものであり、 そんな社会は恐ろしいといまさらながらに感じてしまいました。2012/12/18