出版社内容情報
「仕事」と「人」という「1対1」の対応で雇用や人材活用を考えていたのでは、企業は環境変化のスピードと複雑さについていけない。これからは「仕事を構成するタスクや活動など」と「個人が持っているスキル、能力、経験、知識など」の「多対多」の最適マッチングを追求しなくてはならない。
前者の発想で企業に定着したさまざまなルールや慣行や手順の総体を本書は「古いワーク・オペレーション・システム」と呼び、後者を可能にするものを「新しいワーク・オペレーション・システム」と呼ぶ。新しいOSの具体的内容、導入の手順、考えられる抵抗や失敗の可能性、そしてそれらを克服する対策を論じたのが本書である。
労働力不足の解消、変化する事業ニーズに対応する人材の採用・配置・育成、外部労働力の効果的活用など、企業のHR部門がカバーしなくてはならない領域は拡大する一方だ。もはやHRは企業のサービス部門ではなく戦略的中枢部門となった。いまそうでないなら、一日も早くそうならなくては事業を継続できない。
対応を求められているのは企業だけではない。大学などの教育機関には、細かく分割されたスキルに対応する教育を提供し、能力を保証する資格証明を発行することが求められている。経営者やマネジャーには、雇用関係も階層構造もないなかで指導力と影響力を発揮することが求められている。政策立案者には、非正規雇用労働者やギグワーカーの人権と暮らしを守るための社会政策が求められている。そして個人には、労働市場のニーズをにらみながら常に自分の価値を高めつづけるというキャリア発想が求められている。
近年「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」への移行の必要性が盛んに唱えられ、さまざまな切り口の書籍が出版されている。これら日本で生まれた2つの用語こそ使われていないが、本書もそのような一冊だ。HRの理論と実務に通じた2人の権威が書いた新しい経営環境に対応するHR戦略論が本書である。
目次
Introduction 新しいワーク・オペレーティングシステム―仕事の脱構築と再構築
1 新しい仕事観と人間観―「職務と人」から「タスクと能力」へ
2 ワーク・オートメーション―人と機械の最適なマッチングを実現する
3 自由で創造的な働き方―フルタイム雇用からオルタナティブな就労形態へ
4 新しいキャリア開発の視点―学歴と職歴からスキルと能力へ
5 仕事の解体と再構築をつづける―プロセス・文化・人材・構造・テクノロジー
6 新しいOSの問題点と解決策―経営とリーダーに求められること
7 プラットフォーム・ワーカーを守る―報酬・社会保障・能力開発・交渉力
8 組織はこうして生まれ変わる―危機的環境変化に対応する仕組み
著者等紹介
ジェスターサン,ラヴィン[ジェスターサン,ラヴィン] [Jesuthasan,Ravin]
マーサーのトランスフォーメーション・サービス事業のグローバルリーダー。未来の仕事とワークフォース・トランスフォーメーションに関する世界的なオピニオンリーダー、フューチャリスト、著者として知られる。世界経済フォーラムで、仕事の変革とグローバル人材に関する画期的な研究「HR4.0:第4次産業革命における人材マネジメント」(HR4.0)をはじめ、数多くの研究プロジェクトを主導。PBSのドキュメンタリーシリーズ「仕事の未来」(Future of Work)のアドバイザー
ブードロー,ジョン・W.[ブードロー,ジョンW.] [Boudreau,John W.]
南カリフォルニア大学マーシャル・スクール・オブ・ビジネス(MBA)名誉教授(経営・組織学)。同大学Center for Effective Organizationsリサーチ・ディレクター。組織を持続的成長軌道に乗せるための人材の活用と開発、HR戦略、人事情報システムなどを研究。スタートアップからグローバル企業、政府機関、非営利団体まで、多くの組織のアドバイザーを務めている。全米HRアカデミー理事、国境なき医師団資源計画委員、企業生産性研究所理事としても活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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