出版社内容情報
イノベーションは社会実装ができて初めて価値を生み出すが、それは日本企業が不得手とするところでもある。その解決のカギとなるのが、人々が協調して新たな価値を生む未来のコミュニティ「共領域」である。
内容説明
「共領域」―多様な人や組織の「つながり」によって価値を創出するというコンセプトであり、三菱総合研究所が創業50周年記念研究で打ち出した概念。本書はその概念をビジネスと政策の実務に展開することを企図しており、焦点を「サイロを繋げること(サイロ・コネクティング)」に絞っている。
目次
第1部 分析編(改めて「失われた30年」を振り返る;社会実装の停滞;研究開発と事業創造の谷間;未来への日本の可能性)
第2部 実践編(イノベーションを社会実装につなげるには;「共創力」から「コレクティブ・インパクト」へ;企業は何をすべきか;政府・産業界は何をすべきか;社会全体で何をすべきか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamako
9
まとめると「会社一つで経済活動する限界や社会課題を解決するには、社内も行政も縦割りを超えた横の連携が必要で、それこそがイノベーションの源」というところか。Amazonが新事業立ち上げプロセスをマニュアル化して、アイデアを思いついたら誰でも組織を動かせるようになっているのがすごい。組織論がメインだけど、単年度会計も元凶だよなあ、と思う。2022/07/24
Go Extreme
4
改めて「失われた30年」を振り返る: 日本の未来は社会実装力に依存 社会実装の停滞: 供給者目線で社会実装はできない ペインポイントは地域で異なる 研究開発と事業創造の谷間: 未来への日本の可能性 イノベーションを社会実装につなげるには: 共創の重要性 社会実装の成功要因 共創力から「コレクティブ・インパクト」へ: 「社会課題起点」の事業創造 エコシステムの構築と課題の共通認識 企業は何をすべきか: DXでサプライチェーンをつなげ 共領域を拡張せよ 政府・産業界は何をすべきか 社会全体で何をすべきか2022/01/03
たくぼ
2
確かな情報に基づいてどうあるべきかが語られているためか、大いに納得できた。大勢の方が書いたことによるバラバラな感じは一切なく、三菱総研としての考えが本書のなかで一貫していて、読みやすかった。中国アメリカのスピード感が必要なシステム、日本は組織の中でより危機感を持てるようなシステムづくりが必要なのだろうと感じました。あぐらをかいている自分に自戒。もう一つのキーワードであるバックキャスティングは責任感の強い日本人が不得意なことのように思える。実践していこう。良質な読書経験になった。★★★★★2023/09/04
なーちゃま
2
文章の分かりやすさが卓越している。知が蓄積されているにもかかわらず日本が停滞しているのは「技術開発が社会実装へと結実されない」からと置いて、そのために①バックキャスティングで知を動員する、②知を繋げるために共領域で勝負する、という内容。米中がスピード感とオープン化で、欧がルールメイキングなど上流戦略で勝負している中、日本は共領域で勝負しろ…若干強みが弱い気がしないでもない。「イノベーションは多産多死が基本。日本ではそもそも多産しないし多死しない」は的を射ている。事業停止する力が日本は弱い。2022/07/05