出版社内容情報
著名な科学実験やベストセラーの間違いを紹介し、 科学における不正・怠慢・バイアス・誇張が生じるしくみを解説する真実の書。
内容説明
科学における不正・怠慢・バイアス・誇張が起きる仕組みを多数の実例とともに解説。「科学的エビデンス」の裏側に迫る!
目次
第1部 「あるべき」と「ある」(科学の仕組み;再現性の危機)
第2部 欠陥と瑕疵(詐欺;バイアス;過失;誇張)
第3部 原因と対処法(逆インセンティブ;科学を修正する)
付録 科学論文の読み方
著者等紹介
リッチー,スチュアート[リッチー,スチュアート] [Ritchie,Stuart]
心理学者。キングス・カレッジ・ロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所の講師。2015年に科学的心理学会(アメリカ)の「期待の星(ライジング・スター)」賞を受賞。『タイムズ』『ワシントン・ポスト』『ワイアード』などに数多く寄稿し、BBCラジオなどの出演もある
矢羽野薫[ヤハノカオル]
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
137
「科学は信用できない」とコロナワクチン接種を拒んだ親戚知人は何人もいるが、彼らの主張も当然と思える科学者の失敗や誇張、詐欺や偽造など悪行の数々が列挙されていく。純粋なミスによる論文撤回はまだしも、名声や金儲け目的のデータ改ざんや画像操作は日常茶飯という。思うような結果が出ないと中途で分析方法を変えたり、基本データの正確性を確認しないなど研究者としての倫理のない学者も珍しくない。そんな不正にノーベル賞選考機関も加担していたとなると、何をかいわんやだ。科学の信頼を自ら突き崩す科学者は何のために生きているのか。2024/07/06
Yoshi
24
科学におけるさまざまな課題を記した本。科学は「間違ってはいけない」ということではないと思う。不正はもちろん駄目だが、元々個人的な考え(哲学)を検証可能とするための方法論として発展してきたわけだから。科学が純粋な知の喜びから、資本主義に取り込まれてしまっているという話だと思う。商業雑誌は、退屈な記事では売れないわけで、売れるためには、「ほんまでっか」という記事を載せることになる。「売上」追求する企業と構造はなんら違いはない。科学に何を期待するかという問題でもある。2024/02/03
ATS
23
「それってあなたの感想ですよね?」のブームで根拠をもとに語ることの重要性が高まりつつあるがその根拠のひとつである論文の脆弱性を指摘する本書。「論文=科学的に証明された知見」という概念の人もいるかもしれないが大間違いで論文はスタートに過ぎないし専門家からすれば週刊誌レベルでパラパラ読むようなもの(エポックメイキングになるようなものは除くとして)。p値ハッキングや多重検定など有名な不正を事例を出しつつ紹介しているが初学者には難解だろうと思うところがしばしば。しかしリテラシーのために読んでおいて損はない。2024/03/08
zoe
20
Science Fictions (2020). 初めから世の中を欺くための文章を作成しているのは詐欺だとしても、レベルの高いとされる雑誌に最先端の誰も出したことが無い結果を示す競争は、科学を歪めることがある。実際に良い結果は多く拾われるが、悪い結果は見切られ深追いはされない。分布がファンネル状のプロットにならない。また結果を見て、検証したとされる範囲を変更するアウトカムスイッチング(鉄砲を撃ってできた穴の場所を的とする)。誤りが修正なく引用されていく事態。ネガティブデータもそのまま公開できることが大事。2024/03/10
あつお
19
科学の信頼性を揺るがす問題を検証する本。 本書は、①科学界の構造的問題、②研究の誤り、③信頼性を回復する方法を解説する。① 研究者は論文の発表数で評価され、競争が激化することで不正や誇張が生まれる。査読制度の限界や企業資金の影響も問題を深刻化させる。② データの捏造や再現性の欠如、バイアスが科学の信頼を損なっている。③ 透明性のある研究環境を作るため、データの公開や登録試験の導入が求められる。科学の在り方を再考させる重要な一冊である。2025/01/07