出版社内容情報
本書の物語の舞台となっているのは、シンガポールを事業の中心として、オーストラリア、南アフリカ、ブラジル、エジプトで塩化ビニールの安定剤や金属石鹸の製造・販売を行っているSUNACEの経営者たちである。
本書には三つの大きなテーマが存在する。
その第一のテーマは、混乱からの起業である。第2次世界大戦の敗戦から80年。今や知る人が少なくなった戦中から敗戦、さらに戦後の混乱のなかで、企業存続のために、強き信念と不断の努力で立ち向かった経営の姿である。東北の寒村から一人上京し、「世のため、人のために」と事業を起こした往時の起業家・吉田利夫の姿。
第2のテーマは、事業存続のために選んだ海外進出である。大企業とは言えない、従業員数も少ない同社が、海外への進出をしなければならなかった厳しい国内事情の有様やその苦闘を描いていく。また、勝ち抜くための理念となった「いばるべからずあせるべからず」の精神。
そして、第3のテーマが次々と海外拠点を増やしていく経営戦略の在り方とその道筋、さらには、どこまでも、「人」を大切にすることに徹した利夫の理念が世界中のSUNACEに浸透し、世界各地のリーダーたちが思う存分に活躍できる土壌が形成されたことである。
大企業でもなければ、財閥系の企業でもないSUNACEが世界各国の協力企業と連携しながら成長してきた歴史は多くの企業に、挑戦する勇気と希望、また、具体策を与えてくれるはずだ。
内容説明
戦後から80年、あの大混乱の時代に船出した多くの企業と起業家たちがいた。国内市場のシュリンクに、止むなく海外に進出した経営者たちがいた。人種、国籍、あらゆる違いを乗り越え、共に働く喜びを共有した「リスペクトの物語」。特殊化学品・添加剤メーカーの分野で世界有数のメーカーとして知られるSUNACEは、創業者の吉田利夫がシンガポール進出の決断をして、その後継者たちが様々な困難を乗り越えながら独自のグループ経営を進めてきた。その波瀾万丈の歴史を紹介する。
目次
第1章 産業が拡大する大正から昭和の中で
第2章 戦後日本の経済成長と共に
第3章 世界へ―大いなる決断
第4章 グローバル企業へのバトンを次代へ
第5章 アジアから世界へ
第6章 100年企業をめざして
著者等紹介
岡田晴彦[オカダハルヒコ]
1959年東京生まれ。1985年株式会社流行通信入社。『X‐MEN』『流行通信homme』を担当。1995年同社退社後はフリーの編集者として雑誌・書籍の制作に参加するとともにアパレル・ブランドや一般企業の広告を制作。2000年株式会社ダイヤモンド・セールス編集企画(現・ダイヤモンド・ビジネス企画)に入社、『ダイヤモンド・セールスマネジャー』『ダイヤモンド・ビジョナリー』編集長を経て、2007年取締役、2023年代表取締役社長に就任。「ビジネスの現場にこそ、社会と人間の真実がある」がモットー。これまでに100冊以上のビジネス書・ビジネス誌の編集を手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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