内容説明
終戦直後、素人の青年たちが陶器づくりを始めた。それがいまや島根県を代表する窯元に。決して名を立てず、無名の職人として生きてゆくことを旨とし、夢見たのは工芸の共同体。
目次
1章 工芸の共同体を目指す―河井寛次郎と仕事の喜び
2章 ただ無名の職人として―柳宗悦と山本空外
3章 古作に学ぶ新作づくり―吉田璋也と濱田庄司
4章 共同体を支えた信仰心―バーナード・リーチと無自性
5章 百年デザインを目指して―外村吉之介と鈴木繁男
著者等紹介
多々納弘光[タタノヒロミツ]
昭和2年島根県斐川郡出西村(現・出雲市斐川町出西)にて農家の三男に生まれる。旧制長崎工業経営専門学校(現・長崎大学経済学部)在学中に終戦を迎える。22年休学を経て同校に復学するとともに、出西村の幼馴染みたちと焼きものづくりを始める。24年同校卒業とともに焼きものづくりに専念。30年企業組合出西窯を設立し理事のひとりとなる。以来、作陶はもとより、経営、営業を担い、出西窯のリーダーとして共同体の運営に努めてきた。また、長らく日本民藝協会の理事を務め、民藝の新機軸の構築や民藝運動の継続に尽力(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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つばな
1
今まで民芸を牽引してきた思想家(つまり柳宗悦)や、作家たち(河井寛次郎など)の書物は読んだことがあったが、新作民芸を創り出してきた工房側の著作を読んだことがなく、違う視点から民芸運動を知られてとても興奮した。また文章が読みやすく、多々納さんの謙虚で真摯なお人柄が出ていてぜひおすすめしたい一冊。 http://honnnomushii.jugem.jp/?eid=592019/08/18
さくら
0
多々納さんの人柄が滲み出た文章だ。知性と品性と突き進む意欲。それは出西窯の人々の根底に共通しているものだとおもう。出西窯の作品がこれほどの年月と思考と日々の営みの中で作られてきたのかと、深く感じた。2024/04/24