内容説明
羊羹を練り続けて半世紀以上。「紫の一瞬の輝き」を求めて、今日も指先の神経を研ぎ澄ます。小さな屋台から始まった吉祥寺「小ざさ」物語。生涯現役!78歳の処女作。
目次
プロローグ 40年以上、早朝からできる行列の裏側で
第1章 2品だけの究極の味を求めて
第2章 たった1坪の店で
第3章 私の仕事観を形づくった出来事
第4章 屋台からの「小ざさ」創業
第5章 父から娘へ
第6章 障がいのある子どもたちと共に
第7章 次代に伝える
エピローグ 125歳まで現役で―
著者等紹介
稲垣篤子[イナガキアツコ]
東京・吉祥寺にある和菓子店、「小ざさ」社長。1932年、東京都生まれ。1956年、東京写真短期大学(現東京工芸大学)卒。1951年11月19日に吉祥寺で父が「小ざさ」を創業。当時、畳み1畳の屋台の店で、19歳時から1日12時間、365日休みなく、団子を売り始める。1954年、現在の店舗がある吉祥寺のダイヤ街に移転後、品数を羊羹ともなかの2品(現在、羊羹1本580円、もなか1個54円)に絞る。以来、現在も羊羹を練り続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっちも
18
最中と羊羹の2種類。単純なものを売るのに、気の遠くなるような、ひたむきな仕事の積み重ねが背景にあり。ああぁやっぱりそうなんだと、少し良い気分に浸る。2020/01/05
Sato
17
商品は羊羹ともなかの2種類。1日150本限定の羊羹に毎朝早朝4時、5時から行列ができる吉祥寺の広さ1坪の店舗「小ざさ」の繁盛記。材料費は上がっても値上げはしない。障害者を雇用しても、少しでも仕事ができるように本気で育てたいという理由から、国からの補助金を拒否。家のものは誰よりも働く。ネット販売など時代に合わせ変わって行く部分もあるが、商品の作り方、味、箱の意匠なと小ざさのDNAに関わることは一切変えない。言うのは簡単だが、経営を考えるとなかなかできないこと。ビジネスの本質を考えさせられる一冊。2018/10/02
C-biscuit
16
図書館で借りる。全く知らなかったが、有名な店舗のようで、しかも一坪という特徴がある。適当な小汚い店かとも思うが、有名な方が店名を書したり、伝統と歴史を感じることができるお店である。表紙を含めてカラー写真もいい雰囲気。著者はしっかりとした哲学があり、今の時代に全く遅れなく、むしろ先端の考え方がある。そこにたどり着く戦前戦後の苦労話も読み応えがあった。知的障害者も積極的に雇用しており、補助金に頼らない考え方や、人の育て方なども大いに参考になる。通販もあるように書いてあったので一度お取り寄せしたいとも思う。2018/07/30
夜長月🌙@読書会10周年
14
吉祥寺にあるち~さなもなか屋のおばあちゃん社長の物語。法大教授・坂本光司先生の「ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社」の第1章に出てくるのはこの店(小ざさ)。驚くことに年商3億円!その羊羮は午前4時 から並ばないと買えない(繁忙期はもっと早く)。インターネットのオークションで高値で売買されていることに心を痛めている。一生に一度食べてみたい。歩いて4時に行けなくはない所に住んではいるが...。自閉症等障害者を雇い親身になって指導する様は頭が下がる。親御さんと連絡帳のやり取りまでしていた。人生の指針となる。2014/04/09
おせきはん
12
「自分に”いつかこうしよう”と思っていることがあるなら、いまは遅くても、少しずつ少しずつ、前へ前へ出ていけばいいんだ」というお祖母様に見守られ、親子で小ざさを育ててきた歴史と、ものづくりに対するこだわりを知り、小ざさの羊羹が愛されている理由がよくわかりました。補助金をもらわずに障がい者と一緒に働く姿勢からも学ぶことが多くありました。2018/01/02