内容説明
かんすけさんがアサヒ自転車をはじめたころ、このあたりは竹やぶや雑木林のつづく丘陵地帯で、そのあいだに、たんぼがありました。キツネもタヌキもイタチもいっぱいいました。アサヒ自転車の前には、自転車がいっぱいならんでいましたが、いっぱいなのは自転車だけではなくて、自転車を見にくる人も、いっぱいいました。おひるすぎから学校がえりの小学生、三時ごろからは、中学生が、新しくはいった自転車を見ていきます。夕方になると、高校生や、会社がえりのおじさんが、駅にとめておいた自転車にのってきて、空気を入れたり、ちょっとした修理や、そうだんをしていきます…。小学校中級以上向。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
56
ほのぼの、優しいお話。かんすけさんは町の自転車屋さん。自転車に乗るのが大好きでしたが、もうおじいさんになり、腰を痛めてしまってからお医者さんに自転車を乗るのを禁じられていました。そんなある夜、店の前に不思議な自転車が置いてあります…。ただ不思議な出来事を描くだけでなく、かんすけさんの実直な仕事ぶりも素敵です。昔はどこにもあった、町の自転車屋さんの雰囲気がいいですね。懐かしい。初めて自転車の乗った頃を思い出しました。2023/04/18
ぶんこ
37
かんすけさんは自転車が大好き。楽しく自転車を磨き上げています。しかも、ただ売るだけではなく、ちゃんと乗れるようになるまで手助け。素敵すぎて胸が熱くなります。自転車大好きなかんすけさんですが、お医者さんから乗ることを止められています。そこに昔かんすけさんが乗っていたのと同じ自転車がお店の前に置かれていました。かんすけさんは何の躊躇もなく軽々と乗りこなして、どこまでもどこまでも。いいなぁ。それは昔かんすけさんに自転車に乗せてもらった狸さんの子孫が自転車に化けてくれたから。いいお話です。2023/07/06
あるちゃ
4
たぬきのお話といえば松野正子さん。 そう思のは『こぎつねコンとこだぬきポン』のイメージからだろうなあ。 動物とおじいさん、予想通りハートウォーミングなお話でした。 が! この物語、たぬきとかんすけさんとのハートウォーミングなお話にとどまってないところが素敵すぎます。 好きなことを仕事にして、真面目に丁寧にひたすらに生きてきたから、そのご褒美なのかな、とも受け取れます。 でも…こういう町の自転車屋さんってなくなっちゃいましたよね。 寂しい限りです。2014/09/21
カヤ
3
こんなに人が来る自転車屋さんがあるんだね。すごくほっこりした。こういう人、あこがれる。2016/10/28
さばきち
3
娘が読書感想画を描くため学校から借りてきた本。安心できるいいお話。子供にはこういう柔らかい優しい話を今のうちにたくさん読んでほしいと思う。2016/08/26