内容説明
テレジンに送られた子どもたち1万5000人の中で生き残ることができたのは、たったの100人―「地獄の控室」と呼ばれた収容所でフリードルと子どもたちが描いた命のメッセージ。奇跡的に生き残った人びとの証言が描き出す現代史の深き闇と光。
目次
序章 生き残ったのだから…
第2章 テレジン収容所
第3章 フリードル・ディッカー
第4章 収容所の中の『絵の教室』
第5章 『東』へ…
第6章 絵との再会
終章 生きていれば…
著者等紹介
野村路子[ノムラミチコ]
1937年、東京生まれ。都立白鳳高校を経て早稲田大学文学部仏文科卒業。コピーライター、タウン誌編集長を経て、ルポルタージュ、エッセーなどを執筆。89年、テレジンの子どもたちの絵と出合い、その存在を日本で紹介したいとチェコの国立ユダヤ博物館と交渉し、貸し出しを受けて、91年から『テレジン収容所の幼い画家たち展』を主催。生き残った“テレジンの子どもたち”へのインタビューを重ね、現在も、執筆・講演活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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Nobuko Hashimoto
19
チェコのテレジーン収容所に残された子どもたちの絵を著者が日本に紹介しようと思い立ったときに取材した生存者の女性の話を軸に、時代背景などを添えてまとめた本。タイトルにあるフリードル先生は、収容所で子どもたちに絵を教えた人物。彼女の手ほどきで殺伐とした希望のない収容所生活に潤いがもたらされ、子どもたちの心を癒した。その思い出が詳しく語られている。2023/12/25
どら母 学校図書館を考える
3
記入漏れ 近所の小学生に貸していたのが返ってきました。絵の力 生きる力 教師の素晴らしさ 色々感じました。2015/11/15
サオリ
2
頂き本。 ホロコースト、アウシュビッツ そんなイメージしか知らなかった。 そこにいたこども達。 こども達を思った大人。 こども達の絵。 視野が広がる一冊。2015/05/26
zaqyassun
0
ナチス収容所の子ども一万五千人に、「何かを創り出すことは生きる力になるはず」ということを信じ、教えた大人たち。そして「創ること」が「他に優しくすること」に昇華してゆく。残された4000枚の絵は、人間の崇高な精神を今に、そのまま伝える。2020/05/17
リョー ボッチ
0
子ども向けの読みやすい本でした。ナチスのユダヤ人虐殺の悲惨さももちろん伝わってくるのですが、それ以上に心に残るのは、どれだけ絶望的な状況であっても人は生きる希望を持つことができると言うこと、人間らしさ、人としての尊厳は保つことができるのだと言うことでした。フリードル先生そして自分の命を危険にさらしてでも子どもの希望を守ろうとした収容所の大人たちがいなければ、100人の子どもすら生き残れなかったのかもしれません。2020/02/17
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