内容説明
この三性説は本書で明らかにしたように「依他性と真実性との不異―依他性の空」という思想によって、成唯識論の、性相永別の立場と異なって、性相融即の立場にあることを示しているから、唯識説を、大乗起信論の方向へ歪めて解釈しなくても、如来蔵縁起説と同じく、真と妄との交徹という思想であることがわかる。
目次
第1部 梵文唯識三十頌の解明(梵文唯識三十頌の和訳;識転変の意味;唯識三十頌の構成;vij〓naptiその他について―無着・世親の唯識説は観念論ではない)
第2部 仏教研究の方法論的反省