内容説明
たおやかなロマンス、生死を超えた神秘、いま東洋本源の様式(ストーリー)が甦る。雨月物語のルーツともいうべき「金鰲新話」、光源氏顔負けのダンデイーが活躍する「九雲夢」、秀吉の侵略を被害者側から描いた「壬辰録」など隣国の秀作5篇を訳載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CCC
6
李氏朝鮮時代の中・短篇5作。やたらと詩が多く、筋立てがあまり頭に入らなかった(金鰲新話)。秀吉の朝鮮出兵をなぜか関羽が撃退。援軍を頼む中国は清になってるし、藤堂や加藤は死ぬし、清々しいほど史実性とか考えて無くて笑った。仮想戦記っぽい(壬辰録)。慌ただしいギャルゲ展開はまさかの夢オチに。タイトルはそういう事だったのか(九雲夢)。時折コント的だったり(裵裨将伝)。当たり前のように国王とか出てくると、もうそれだけで異国感が。日本の事だと分かってても、今度は天皇か将軍か分からなくなる(南允伝)。2017/01/30
syaori
5
李氏朝鮮時代の小説集です。「雨月物語」を思わせる「金鰲新話」、「紅楼夢」の影響があるという「九雲夢」、色っぽい滑稽譚の「ベー(なべかんむりに裴)裨将伝」が面白かったです。九雲夢は短いのにヒロインが8人もいるので、あまりヒロインに個性がなかったのが残念でしたが、才能と容姿に恵まれた主人公が出世街道を突っ走り、出会った女の人には「まあ、素敵なお方」と思われという展開が読んでいて楽しいです。あと、金鰲新話でよく詩を作っていて、この詩がどんなものなのか気になりました。漢詩みたいに決まりごとがありそうなのですが。2015/12/10