内容説明
単独的かつ普遍的な思考。柄谷行人初の講演集。
目次
バフチンとウィトゲンシュタイン
漱石の多様性―『こゝろ』をめぐって
言葉と悲劇
ドストエフスキーの幾何学
江戸の注釈学と現在
「理」の批判―日本思想におけるプレモダンとポストモダン
日本的「自然」について
世界宗教について
スピノザの「無限」
政治、あるいは批評としての広告
単独性と個別性について
ファシズムの問題―ド・マン/ハイデガー/西田幾多郎
ポストモダンにおける「主体」の問題
固有名をめぐって
安吾その可能性の中心
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
73
内容紹介には、「「シェイクスピアからウィトゲンシュタインへ、西田幾多郎からスピノザへ。その横断的な議論は批評の可能性そのものを顕示する。計14本の講演を収録」とある。 30年ぶりの再読。久しぶりだからか、新鮮。バブル真っ盛りへ突っ込んでいく、ジャパン・アズ・ナンバーワンと世界から持て囃されつつあった日本。ポストモダンのモデルは日本にこそあると持ち上げられていたが、ほんの数年もしないうちにアメリカに叩き潰された。構造改革を自分では行えず、メタボな体がシュリンクしてしまった。2020/08/20
SY
2
最近の日本のいわゆる「右傾化」を考えるのに、宮台真司や坂本龍一と鈴木邦夫の対談集などを読むなどしていたが、いわゆるネトウヨのような「排外主義者」とは異なる反権力的な226の志士や南洲翁等、「真の右翼」について様々に調べた。その折に思い出したのが本書に収められた「漱石の多様性」で、巷にあふれる漱石論に頻出する凡庸極まりない「明治の精神」の解釈ではなく、西南の役による維新の精神の分断という視点の記載があったことを思い出した。 維新の精神を愛した漱石にとって、明治の精神とは、西洋化や和魂洋才などではなく、2017/06/12