内容説明
「意識と生命」「魂と身体」「夢」「脳と思考」などをめぐる講演・論文集。
目次
1 意識と生命
2 魂と身体
3 〈生者の幻〉と〈心霊研究〉
4 夢
5 現在の記憶内容と誤った再認
6 知的な努力
7 脳と思考―哲学の錯覚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
69
岩に齧りつくようにして一歩一歩読まなければならなかった。内容はまだ未消化だが、頻繁に使われる隠喩が印象に残っている。例えば、記憶内容が知覚の《枠に入り込む》とか、そのため常に《待機》中であるとか、我々が語を《横断》している…などの表現である。「横断」の意味は、文が終わるまで(仮に終わるとすればだが)、我々は語の意味を確定できず横断中であるという事か? この《横断》という語はよく使われていて、人が《様々な意識の面を横断する》など頻繁に出てくる。ベルクソンは人間の主体性に関わる記述に隠喩を使う癖があるようだ。2016/06/23
KAZOO
66
4つの講演と3つの論文で構成されているベルクソンの基本の考え方がわかる本です。講演ということでわかりやすいのと翻訳がいいのでしょう。この分野の本にしては理解しやすい感じでした。人間の意識は頭脳から来るものばかりではなく、精神的あるいは心霊的なものも影響しているということが主題なのでしょう。この本は誰かの推薦であったのですが、いい本でした。2015/07/22
どらがあんこ
10
ベルクソンはやっぱ要約するより喩えを込みで読むと楽しめますね。たまに結びつかないから?になるけど。6章で取り上げられてる動的な図式に記憶内容がイマージュを注ぎ込むってのは箱的な読みって感じがする。2019/06/01
Akiro OUED
3
緊張と弛緩、覚醒と睡眠、そして、非物質は、連続的に物質化する。思考は脳の物理的状態として表現できるが、その逆は無理。この主張は、脳科学が進歩した今、より説得力を持つ。知覚に記憶内容を埋め込んで認識を構成するならば、目覚めていることと夢を見ていることの違いは何か。鋭い指摘。好著。2024/09/25