感想・レビュー
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さえきかずひこ
13
1978年刊行の本書の読みどころは第4章「西田哲学と私」である。1919年生まれの著者が戦前・戦中・戦後に西田を含めてどんな哲学に傾倒したかが略記されており、当時のエリート文系学生の思索の変遷を垣間見ることができる。本書を第1章から読むと、著者はしきりにかつて西田哲学の理解が浅かったと悔やんでいるのだが、その経緯が4章にはまとめられている。先の大戦に西田哲学の無の概念が棹差したことや行為的直観の問題点を指摘し、批判的に西田哲学を継承していくと結んでいるが、竹内氏の以後の立場がどうなったのかとても気になる。2018/12/01