内容説明
問題の本質を解明して解決の論理を提案するとともに、制度論、立法論までを視野に入れた解決の方向を提示。第1巻では、弁護人は何のために存在するのかという根源的な問いから出発して、いくつかの座標軸から弁護人の役割を位置づける。その上で、刑事弁護倫理上の主要な問題点を検討し、さらに刑事弁護の質を支える制度的な基盤を論じる。
目次
第1部 弁護人役割論の座標軸(弁護人の存在意義;弁護人の義務論;依頼者の意思と専門家裁量 ほか)
第2部 刑事弁護の倫理(刑事弁護における利益相反;共同被告人の弁護人間の倫理;刑事弁護人と守秘義務 ほか)
第3部 刑事弁護の基盤―刑事弁護を支えるもの(刑事弁護の教育;刑事弁護の担い手;弁護の質の保証 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねお
14
刑事弁護の存在理由から弁護士倫理、担い手論から制度論まで実務と理論の溝を埋める良書。依頼者の意思、価値観利益相反や一般的法規範から、専門家裁量の外縁が描かれており、刑事弁護における弁護士倫理を多面的に学ぶことができる。秘密接見における弁護人の情報選別・遮断機能、アメリカにおける検察官を含む法律家全体の接触禁止ルールや上訴放棄や取り下げにおける訴訟能力の片面的解釈が印象的。弁護人の訴訟上の地位については弁護人に関する解釈上の論点が網羅されており、犯罪者更生への弁護人の関わり方と共犯者の共同受任が勉強になる。2022/04/10