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内容説明
民族学者・比較文明学者が考えた「日本人の宗教」とは…。幻に終わった同名書籍の構想を、のこされた「こざね」で追跡・推理する。梅棹忠夫生誕100年記念出版。
目次
第1章 幻の著書『日本人の宗教』を追跡する(中牧弘允)
第2章 宗教の比較文明論(梅棹忠夫)(日本人の宗教生活;エッセイ 梅棹家の宗教生活;近代化と宗教;宗教の比較文明論への試論)
第3章 民族学者の発想「宗教について」(梅棹忠夫;中牧弘允)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いーたん
10
幻の著作を生誕100年を機に発行。著者の論文の素である「こざね」なるカードの再構築を試みた前半と、関連論文や対談で構成される後半。今回は後半を中心に読んで、梅棹ワールドを堪能。洋の東西におけるキリスト教と仏教の共通点の指摘があったかと思えば、日本における儒教とキリスト教の定着の仕方、さらには、宗教と工業にも共通点を見出す。また、梅棹氏の著書では社会における女性の役割の重要性がよく指摘されている。それは決して、労働人口が減るから働かせなくては、という政治的都合の発想ではない。その視座がさすが知の巨人です❤️2020/07/11
mittsko
5
未完に終わった梅棹著『日本人の宗教』… 淡交社企画「世界の宗教」全12巻(1969-70刊)の最終巻として執筆予定だったが、多忙と体調不良により果たせず、同巻は井門富士夫・吉田光邦共編による『シンポジウム 日本人の宗教』として刊行された。その幻の一冊、残された資料から中牧先生が再構成をもくろむ(第1章 9-91頁)。そこに、著作集所収済みの宗教論5本(第2章 93-200頁)、そして、こちらも既発表の梅棹・中牧対談の記録(第3章 201-30頁)を添えることで、梅棹宗教論をきれいに浮かび上がらせる一冊2021/01/11
かりん
4
4:《幻の書「日本人の宗教」を紐解く。》梅棹氏が約束したものの完成まで至らなかった本(いくつもある)のうち、「日本人の宗教」について、残されたこざねをもとに、書こうとしていた内容を紐解いたり、その他の宗教に関する論考や対談をまとめた本。最後の方の、宗教を技術ととらえる考え方が面白い。宗教心がなく、神様にも先祖にも子孫にも心の拠り所がないとなると、現世しかない。日々の悩みも、そういう大きな枠組みの変化に影響されているのかもしれない。U2020/12/12
ふくとみん
1
「宗教の比較文明論への試論」を読むと地球を上から俯瞰しているかの気持ちになる。高く評価すべき論理だと思います。2023/12/09