出版社内容情報
移築や古材の転用、写しなどの手法を用いて、伝承されてきた近代の茶室、数寄屋など、今まで近代建築史の中でもあまり取り上げられてこなかった茶室と数寄屋を考察。
内容説明
維新によって大打撃を受けた茶室は所有形態を変え、または移築が施され、後世に伝えられていった。あるいは古民家を改築し、さらには寺院の古材を組み込んだ茶室も作成された。時代の大きな変化に対して、したたかに生き延びたのである。そのようなところに着目すると、これまでになかった歴史の連続と拡がりがみえてくる。本書ではまずそこに注目し、話をすすめている。そして、その茶室・数寄屋が、ある意味で正反対の性格を持った近代建築に大きく影響を与え、あるいは近代建築そのものとして扱われた。なんとも逆説的な展開である。しかし近代建築が過去から切り離された特異なものではなく、連続する長い歴史の一コマだとするならば、当然のことでもある。主に後半部分はそれに関連したことがらについての話である。
目次
第1章 近代建築史としての茶室・数寄屋(和風建築・近代への昇華;近代の茶室・数寄屋)
第2章 明治・公に位置する茶室・数寄屋(博物館・博覧会からの発信;庭園・公園と茶室・数寄屋;紅葉館と星岡茶寮)
第3章 継承と新たな展開(井上馨と八窓庵;原三渓と三渓園;松永耳庵と柳瀬荘;茶室の寄進;民芸の茶室;数寄者を支えた技術者;田舎家からの系譜)
第4章 近代的視点からの茶室・数寄屋(新しい生活様式と茶室;幾何学的な茶室;前衛と伝統)
第5章 建築家と茶室・数寄屋(武田五一と藤井厚二;ブルーノ・タウトと桂離宮;堀口捨巳;吉田五十八;谷口吉郎;村野藤吾)
著者等紹介
桐柚夫[キリサコクニオ]
1960年、和歌山県生まれ。1986年、京都工芸繊維大学大学院修了。現職は、京都建築専門学校。専門は、建築歴史意匠、茶の湯文化、文化環境。工学博士、一級建築士
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