内容説明
幼少期、素人時代のエピソードから「緊張の緩和」の枝雀落語理論まで。ひたすら笑わせることだけにいのちを燃やし尽くした噺家・桂枝雀の生涯。
目次
桂枝雀の人生(筆者のなが~いマクラから;今度はホントのマクラから;じっとしてられんタチでして;けったいな先生がおりました ほか)
桂枝雀の人生―番外篇(父として、夫としての枝雀;枝雀寄席から;小米落語と枝雀落語 落語作家、小佐田定雄さんに聞く;僕らはえにしで結ばれた「八雀士」 ほか)
著者等紹介
上田文世[ウエダブンセイ]
1942年和歌山市に生まれる。65年4月朝日新聞社入社。鹿児島支局、福岡総局、大阪社会部などを経て、93年から学芸部で「お笑い」担当の編集委員として、落語・漫才・浪曲・講談などを取材する。2002年8月、定年で退職
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感想・レビュー
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detu
48
枝雀さんの落語は音声だけでも面白いが高座を所狭しと大きな身ぶり手振りで動き回り、顔、体中で表現する仕草を観たい。落語に対して真剣勝負やったんですね、師匠は。鬱を患うまで苦しみ抜いて悲しい結末。唯々悔やまれます。落語以外にも趣味なるものを持とうとするも長続きせず。他の事も一切ダメ、自宅にかかってきた鳴り止まないベルに『はい、留守です』ガチャン。笑ってしまう。有名なマクラ「お金と言うものは沢山有るところに自然と集まって来るそうです。さすれば、お金を貯める為には、まずお金を貯めなければならないのでござります」2016/07/14
だっくん
3
大好きな落語家。生の舞台を一度見てみたかった。枝雀の温かみというか心がほっこりする落語の背景にあるものに興味がわいて読んだが、彼の本質はまじめで穏やかな人だったんだろうなと思う。突き進んだところが自死だったのは悲しいけれど笑いとはそれほど深いものなんだろう。2011/06/11
satoshi
3
「枝雀落語大全」もだいぶ見たので,文字で書かれていてもたぶんこんな表情でこんな口調で言ったんだろうなあとか想像できる。枝雀さんの落語には,現在世にあるお笑いのあらゆる要素があると思う。この人が自ら命を絶ったということの痛みが最近ようやく少し分かるようになってきた。最終的には自分が舞台で20分30分とただニコーっと笑って,お客さんもニコーっと笑って,それだけで終わる,そんな風になりたいと言っていて,枝雀さんならほんとにいずれそれができたんじゃないかと思う。すてきな写真満載の,愛にあふれた一冊。2010/08/25
kera1019
2
「枝雀さんの人生」を読んでると切なさで胸が詰まる… ふと枝雀さんの落語が聴きたくなって「宿替え」を聴いてると思わず笑ってしまう。面白さが切なさを上回ってる事に安心する。ただ、この本を読んでひとつ思ったのは軽々しく天才なんて言うたらあかんなぁってシミジミ。2013/07/11
hisakodosu
2
生の枝雀さんの落語を聞いたことのあるものとして残念でならない。枝雀さん関連の本を読んで思い出そう。2012/07/31