内容説明
香りの芸術である香道は、茶道・華道と同じく、中世におこった伝統芸能の一つであり、その精神や作法、道具などに数々の共通項を見出せる。本書は、香道と茶道の比較を通して、香の世界・香道の歴史を紹介し、茶の湯、そして仏教とのかかわりに触れる。
目次
第1章 香の分類
第2章 わが国の香の歴史
第3章 中世文化と香
第4章 香の精神
第5章 茶の湯と香
第6章 香りに親しむ―組香の楽しみ
著者等紹介
太田清史[オオタキヨシ]
1952年滋賀県に生まれる。’77年志野流香道入門。’80年大谷大学大学院博士課程(仏教学専攻)修了。現在、京都光華女子大学短期大学部教授。芳野流香道松隠会理事
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Noelle
5
香道と茶の湯、仏教のかかわりがとても詳しく。香が香道となり、茶の湯が茶道、花が華道となっていった、その大元の歴史的背景が詳しく語られていて、それぞれが不可分に成立していった方がよくわかった。「香の茶の湯」とか、茶事初炭の時の聞香の略手前など、そんなにも香と茶が同時に楽しまれていたことにもびっくり。やっぱり東山文化はすごいなあ。私たちが日本文化と呼ぶものの殆どがそこで生まれているんだ。そしてもちろん古典和歌の知識が、香銘、組香の必要条件な理由もね、納得です。2018/02/20
ぽんぽこ
1
香道のコの字も知らないのに購入。初めて触れた世界ですが、非常に魅力を感じる世界を垣間見ることができました。タイトルどおりの香道と茶道の密接な関係から、私のような香道初心者には嬉しい香道の基本まで押さえてあり、分かりやすく読むことができました。なにより著者の香道への愛がビシビシと伝わってきます。香りという文化をとても大切にしているからこそ、このような柔らかで丁寧な語り口になるのだろうと推測できます。非常にいい本でした。2022/01/06