出版社内容情報
人間の生の本質に深い関わりをもつ畏敬の念を中心に、尊敬、敬意、驚嘆、羞恥、イロニーなど、他者とのあいだに距離があり、神聖なるもの究極なるものによって呼び覚まされる感情の意義を解明する。
序論
1 感情の哲学的取り扱いの課題
2 畏敬を取り扱う際の特別な困難
3 言語的な世界解釈への方向づけ
1章 尊敬および同系の感情
1 人間同士の感情連関の二つの基本形式としての尊敬と愛
2 愛と憎悪の炎熱に相対する尊敬と軽蔑の冷たさ
3 相反の事例:軽蔑する愛と尊敬する憎悪、価値関連の相違
4 言葉遣いの解明
5 軽蔑の諸形式
6 敬意
7 驚嘆
8 敬愛
9 感情界における尊敬の特殊地位
10 「みずから作り出された感情」としての尊敬というカントの解釈
11 人格の道徳的核心への関連
12 自然な生の底層との緊張
13 尊敬と道徳的自由
2章 畏敬
1 これまで論じられた感情に対する畏敬の位置
2 畏敬の不自然さ(非生得性)についてのゲーテの命題
3 畏敬と恐怖、畏敬の念に打たれた隔たりの緊張に満ちた性格
4 羞恥と畏敬
5 ゲーテにおける畏敬の四形式
6 タブーの関係
7 畏敬の対象としての生
8 畏敬の念に打たれた沈黙
9 畏敬への教育、畏敬すべきものの傷つきやすさ
10 生の究め難さ
3章 羞恥の諸形式
1 羞恥の二つの基本形式
2 語史への回顧
3 振り返る羞恥
4 羞恥と後悔
5 意識の形成にとっての羞恥の意義
6 先を見通す羞恥
7 遠慮と気取り
8 戸惑いと困惑
9 物怖じとはにかみ
4章 畏敬の念に打たれた羞恥
1 抑制としての羞恥
2 客観的な意味、羞恥と恥辱
3 個人心理学的解釈、羞恥と虚栄心
4 肉体的羞恥
5 見ることの羞恥と、見られることの羞恥
6 かまとと(淑女ぶり)
7 心的羞恥
8 羞恥の感情の動きの不随意性
9 内的領域の守護としての羞恥
10 抑制概念の多義性
11 創造的生の守護としての羞恥
12 以前の考察への関係、見かけ上の矛盾の排除
13 羞恥と畏敬との対応
14 実存的なものにおける羞恥の克服の必要性
5章 イロニー
1 これまでに述べたこととの関連、イロニーと沈黙
2 教育的イロニー
3 武器としてのイロニー
4 イローニッシュな隠語
5 イローニッシュな生活態度、イロニーと偽装
6 固定化への恐怖
7 新たな可能性の戯れ的試行としてのイロニー
8 有限性の問題(キルケゴール)
9 ロマン主義的な自由の感情
10 イロニーの浮遊性質
11 イローニッシュな隔たり
12 畏敬のイロニー
13 イローニッシュな軽快さ、微笑み
14 イローニッシュな態度の実存的限界
後記
解説
目次
序論(感情の哲学的取り扱いの課題;畏敬を取り扱う際の特別な困難 ほか)
1章 尊敬および同系の感情(人間同士の感情連関の二つの基本形式としての尊敬と愛;愛と憎悪の炎熱に相対する尊敬と軽蔑の冷たさ ほか)
2章 畏敬(これまで論じられた感情に対する畏敬の位置;畏敬の不自然さ(非生得性)についてのゲーテの命題 ほか)
3章 羞恥の諸形式(羞恥の二つの基本形式;語史への回顧 ほか)
4章 畏敬の念に打たれた羞恥(抑制としての羞恥;客観的な意味、羞恥と恥辱 ほか)
5章 イロニー(これまでに述べたこととの関連、イロニーと沈黙;教育的イロニー ほか)
著者等紹介
ボルノー,オットー・フリードリヒ[ボルノー,オットーフリードリヒ][Bollnow,Otto Friedrich]
1903‐1991。ドイツの哲学者、教育学者。ゲッティンゲン大学で理論物理学の博士号取得。1931年、同大学で哲学と教育学の大学教授資格を取得。1939年ギーセン大学正教授、1946年マインツ大学正教授、1953年シュプランガー教授の後任としてチュービンゲン大学正教授。1946年西ドイツ教育学会初代会長。1966年玉川大学名誉教授。1970年定年退官。1976年ストラスブール大学(フランス)名誉博士。大の親日家でもあり、計6回日本に長期滞在して、玉川大学をはじめ各地の大学で講演を行う
岡本英明[オカモトヒデアキラ]
1937年生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士課程を経て、1971年ドイツ・チュービンゲン大学教育学領域博士課程修了(哲学博士)。九州大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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