内容説明
本書は、自由主義、市場経済、信教自由の西側と社会主義、計画経済、宗教統制の東側との冷戦にかわって、政教分離の国家を奉じるナショナリズムと祭政一致の国家を奉じるナショナリズムが対決する新しい冷戦の時代に入っていくのではないか、という問題提起の書物である。
目次
1 宗教対世俗的ナショナリズム(世俗的ナショナリズムに対する信頼の滅失;競合する秩序のイデオロギー)
2 グローバルな対決(宗教革命の諸モデル―中東;宗教の政治的標的―南アジア;宗教の社会主義的ナショナリズムに対する愛憎並存―旧マルクス主義諸国)
3 今後の諸問題(なぜ宗教対立は暴力的なのか;デモクラシー・人権・現代の宗教国家)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
3
宗教「過激派」の敵は世俗的ナショナリズムである。我らが知らず知らずのうちに信奉している秩序のイデオロギーである。だから過激派がその戦いを二つの異なる「信仰」のあいだの闘争であると考えるのも半分当っている。不幸なことに、我らは彼らが自分たちを敵視する理由に気づいていない。彼らの方が我らの方をよく勉強している。近代国家に比べれば物質的には貧弱だが、敵を知り自らをよく知るがゆえに、政治力において勝る。我らは彼らを物理的に除去できるかもしれない。が、彼らが我らにするように、彼らを憐れみあざ笑うことはできそうもない2019/07/01