出版社内容情報
スポーツ人類学・体育史の大家と、気鋭の若手研究者らが、日本人が「近代にふさわしい身体」をどのように創ったのかを明らかにする。
寒川恒夫[ソウガワツネオ]
目次
第1章 江戸の身体から明治の身体へ―嘉納治五郎の柔道にみる近代の身体
第2章 大学が期待した学生の身体―学生スポーツ団体をめぐるやり取りの分析を通して
第3章 “劣った身体”の発見
第4章 “蛮カラ”な運動部員の思想と身体
第5章 レクリエイトされる身体―自律化するスポーツ空間/グローバル化するレクリエーション
第6章 “体育会系”神話の起源―近代企業が求めた有用な身体
第7章 近代日本が否定した「身体」
第8章 経験と切り離された身体の行方―健康をめぐる近代的身体の一断面
著者等紹介
寒川恒夫[ソウガワツネオ]
1947年生まれ。筑波大学大学院体育科学研究科博士課程修了(学術博士)。専攻、スポーツ人類学。現在、早稲田大学スポーツ科学学術院教授。1992年から2011年まで東京大学教育学部・大学院教育学研究科講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
13
非常に読みどころの多い論集。明治以降の近代化にあたり、日本人は初めてスポーツや体育という概念と遭遇し、自らの身体観を大きく変えていった。第一章(寒川恒夫)の主役・嘉納治五郎もこの流れに棹さした人物の一人。彼が創設した「柔道」は、旧来の「柔術」とは全くの別物だった。人を殺傷する要素は取り除かれ、精神性ではなく物理の法則で技を説明し、言語化する。伝統的な武術を大胆に読み換え、教育の手段として巧みに整形していたのだ。ただ、その教育の目的を「愛国心」に据えた辺りに時代の影が見える。2024/08/15
ああああ
4
「運動会」の目的は、「諸種の運動に由りて会員の身心を強壮快活ならしめ且運動方法の進歩を図る」こと、現代風に言い換えると、スポーツの普及・発展であった。こうした公的な目的を達成しようと活動するためには、まず人を集めなければならない。ただし、人がいても財産がなければ十分な活動ができないため、財産も集めなければならない。「運動会」が社団法人を経て財団法人として認可されたということは、人も財産も十分に 集まって、スポーツの普及・発展に向けて活動できるようになったことを意味している。302024/06/21
ヨシツネ
2
蛮カラと運動会についてまとまっている これを読むだけでも体育会系が伝統だとは思えなくなるのではなかろうか2018/06/02
Youhei Hatakeyama
0
論文集。1章メインで。2017/09/07