内容説明
いま個に応じた指導の工夫が一層求められるなかで、“やさしい運動に”取に組むことを大切にしようとする考え方に関心の目が向けられつつある。ところで、この“やさしい”と言うとき、著者は、体育の学習を子どもの心や体に“優しい”内容にするという視点を強調する。というのは、そのことが、いまの子どもたちにとって大切にされなければならない“仲間との豊かな関わり”を生み出す始発点になると考えるからである。そのためには何よりも、体育の学習観を、仲間と豊かに関わり合いながら、その関係の中で運動を創り上げていく学習の考え方に変えていくことが求められる。そのことにより、学級が子どもたちにとって居心地の良い空間になれば、こんなすばらしいことはない。本書は、こうした新しい状況が芽生えようとするなか、先生方と授業づくりを共にし、そこで得た貴重な経験を「子どもの心を開く」をコンセプトにまとめ直し、著者なりにこれからの方向を追求しようとしたものである。
目次
第1章 「居心地の良い学級」と体育の授業
第2章 教育現場の風
第3章 体育はどんな力を育てるのか
第4章 二十一世紀の学校体育―技術の獲得から関係の生成へ